お梅さまは迷わない!
ししおういちか
今日もお梅さまは迷わない
とにかく染み込ませたい。
タオルもばっちり、ピンク色!
やっぱり女の子の布団って、愛液が染み付いててナンボみたいなとこあるよね?
流石に匂いだけじゃキツイかなあ?
でも、なんか偉い人が相手してくれた時も言ってたし間違いないでしょ。
まあ、まだ十歳くらいだったはずだから、何でこんなのが好きかさっぱりだったけど。
でもその匂いを元にローション作るらしいから、やっぱり頭は良かったのね。
でもあの人には感謝してるの、お梅。
だって気づかせてくれたんだよ、あの人が入院してるのって、お梅のが移っちゃったのが原因なんだって!
すごい。まだ小さかったから上手く気持ちを伝えられなかったけど、本当の愛って言葉にしなくても伝わるのね。
あれは本当に感動した日。
うんうん、初めて嬉し泣きした日なの…… だって今まで、よくわかんない八つ当たりで殴られて泣いたことしかなかったから。
ひどくない? すごく気持ちよさそうだったのに、何日かしてからすごく痒いだの変な病気になっただの言ってくるんだよ。
男の人って不思議。それならやんなきゃいいのにね。
ね、お人形さん?
ああ、ごめん言い忘れてたね。これ、前に住んでたホストの人にお腹パンチされた時、いつの間にか側にいたんだよ。臭いんだけど、可愛いんだよ♡ 触ってみる?
でも、たまに変な声が聞こえるとか言って、そのホストは気味悪そうにどっか行っちゃった。確かに夜になったらこの子は喋るけど、不思議かな?
そうだ! 朗報だよ朗報。そのホストがね、今度お友達と家出中の子をたくさん呼んで、パーティーを開くらしいの。
もちろんお梅は行けないんだけど。お腹殴られるのヤだし。
でも、これってあの時の再来じゃない?
だって、あの偉い人に伝えられた愛が、すごくたくさんの人に分け与えられるんだよ? すっごい嬉しい! ね、そう思うよねお人形さん。
みんなみんな、もう少ししたら真っ白で大きなお布団で毎日寝られるんだよ。ちょっとだけ羨ましいなあ…… もうこの畳、前のお人形さん達が染み込んで、真っ黒なとこだらけだし。
いっぱい声聞こえるし、寂しくはないけど。
これを見てくれてるってことは、貴方はあのホストとか前ここに住んでたバンドマンとか、偉い人よりもっと優しくて素敵な人なんだよね。
私の中、使ってみる? 驚くよ。普通の人より深いらしいから♡
そうしたらね、大切な『お梅』を伝えられると思うんだ。
お人形さんも、そろそろ新しいのに変えたいし……
あ、そうだ。
もう取っちゃったし、出せないってお医者さんに言われたんだっけ。
お梅さまは迷わない! ししおういちか @shishioichica
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます