第2話 真夜中の自由
変な文房具対決というテーマで、有隣堂の岡崎さんとゲストがお互い癖の強い文房具を繰り出しあっている。
「さぁ…、最後。期待が高まっております。岡崎さん、大将をお願いしますっ。」
「よいしょっ、大きいんですよ…」
岡崎さんが文房具取りに後ろに下がる。
(えっ、大きい…?文房具って筆箱サイズの物しかないよね……。)
ドコッ!!!
(エッ、ラーメンの出前で使うブリキっぽい箱を出してきた…)
「お待たせしました。オカモッティ。」
(ブハッ!ww )
そんな真剣な顔してで出されちゃ笑うしかない。
どうやら、この出前でラーメン運べそうな物体はカバンらしい。真面目な雰囲気で蓋の裏にホワイトボードが付いていることや、横だけでなく縦にも仕切りがあって、持ち運ぶの時に中身が動かないことなどの機能を紹介する。
(やばいっ…!。これはBGM、これはBGM……。3.1415926535…。)
笑いそうになれば、内容を聞かないようするために円周率やお経を頭の中で暗唱してやり過ごす。
この商品はサラリーマンにオススメと説明を続ける。すると、どこからかシャレオツなカフェでテレワークする為にこのカバンを使っているサラリーマンになりきった実演が、聞こえてきた。
「あーあ、こうゆう時代だからなぁ。会社に行くのも大変だし、家で仕事していても妻にガミガミ言われてな…。やっぱり、カフェで仕事するのが1番だよなっ。」
(フハハハハw そんな人おらんだろw 想像しただけで面白すぎるw)
はっ、いかん、いかん。必死に心を無にする。
まるで、どんなに吹き出しそうなくらい面白いことがあっても笑ってはいけないというルールのゲームをしているみたいだ。
「今日の撮影終わりでーす。お疲れ様でした。」
(やっと撮影終わった…。)
「次の撮影ですが…」
(郁さん…。次回の撮影の打ち合わせは手短にお願いします。)
息が詰まるのは撮影の時間だけじゃない。撮影でなくても、人がいる前では勝手に動く訳にはいかない。
「終電がーーー!!お疲れ様でしたーー!!!」
(ふぅ……..。やっと、帰った………。体がバキバキ…。)
1回の撮影で多いときで3本程撮影がある。1つ撮影で1時間以上かかっているため、撮影時間は結構長い。だから、撮影終了時刻が終電ギリになることも珍しくない。
先程と打って変わって、静まり返ったスタジオ。
(いち、にー、さんしー…。にー、にー、さん、しー…。)
誰もいない部屋にラジオ体操をする1匹のミミズク。
ここぞとばかりに、スタジオの中を散歩する。
(あっ、Pの忘れ物。)
カメラのコードが出しっぱなしであった。
(踏んづけないように机に置いておこう…。)
そのままにするべきだけど、親切心でこっそり物を動かす。
(次はどんな撮影かなー。)
こうして、人がいない真夜中だけ自由になる。
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