勇者召喚に巻き込まれた社畜おっさん。早速パーティから追放されて、ゲーム序盤で死ぬモブとして転生したのを自覚。聖女に転生した同僚が同情、剣聖スキルを授けてくれた!~無双して、ざまぁして成り上がる物語~

うんこ

第1話 おっさん、勇者召喚される!

「なかなか、終わらなねぇなあ」


 誰もいないサーバルーム。

 俺、嶋野瀧(39)は画面に映るステータスバーを、ボーっと見ている。

 二時間待って、やっと半分ほど緑色になったところだ。


「……、ってことはあと二時間かあ」


 ため息が出る。

 この一年で大量のデータが追加されたのだろう。

 作業前のバックアップ時間が予定を越えて掛かっている。

 この後の作業を巻きで終わらせなければ、リリース予定時間に間に合わない。


「考えてもしょうがねぇや」


 俺はカバンからゲーム機を取り出し、ゲームを起動した。


【ファイナル・ドラゴン・ファンタジー】


 スタンダードなファンタジーゲームだ。

 好きな職業になって好きな相手とパーティを組んでモンスターを狩る。

 ストーリーはあるけど自由度の高いゲームだ。

 俺は何度もクリアしていて、これで五周目だ。


 俺はパイプ椅子に腰かけて、興じる。


「おりゃ! そりゃ!」


 サイクロプスを仲間と狩る。

 ボタンを押す指に力が入る。


「嶋野さん、仕事中にゲームはダメっすよ」


 後輩の鮫島明(31)に怒られた。


「だって、暇なんだもん」


 俺はテヘペロした。


「それ、すべってますよ」


 そして、福寿愛奈(24)に呆れられる。

 

「こらー! 何やってんだ」


 サーバルームに怒声が響いた。


 やべ、プロパーと客がやって来た。

 プロパーってのは俺達孫請け会社を管理する元請け会社の人間だ。

 客は元請けにシステムを発注している会社の人間だ。


 つまりヒエラルキー的に


 客 >プロパー>俺達


 になる。


「クラウスシステムさん、あんた、仕事中にゲームって何考えてるんですか!」


 プロパーが俺を叱る。

 やばい。

 弱みを握られた。


「すいません。これは、ですね……ゲーム開発の勉強でして……」

「うちはお宅にゲーム開発なんて発注してませんがぁ?」

「いえ、こちらから提案させてもらおうと」

「うちは、クソゲーに払う金はないです」


 すいませんでしたー。


 はい、出入り禁止ですね。


 で、会社もクビ……


 そう思っていると目の前に魔法陣が現れた。


「うわっ!?」

「え? なんすかこれ?」


鮫島と愛奈が驚く。


「召喚されたぞ!!」


俺は叫ぶ。

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