戦火の花びら

@sin0066

第1話 夏のある日

ミンミンミンミーン!

辺りそこらに響き渡る蝉の声。

周りは畑や田んぼ、山や川などがある田舎道。

長い道のりの先に暑く湯気が立ち上っていた。

ざっざっざっ、足を引きずりながら歩く青年。

青年「はぁ、暑くてしんどい...」

丁度道の外れに大きな木が立っていた。

青年「少しあの木で休もう」


ドサッ、大きくしりもちをつき体をリラックスさせた。

リュックから水筒を取り出し、麦茶をゴクゴクと喉に流し込んだ。

青年「ぷはぁ、うめぇや」

しばらく休みまた歩き始めた。

しばらく歩くと道の先に集落が見えてきた。

集落につくと地元の方がいて挨拶して廻った。

すると横から

地元の人「あら、三島のお孫さんじゃない!半年ぶりね!」

と、元気いっぱいのおばあちゃんの姿。

青年「お久しぶりです!まだまだお元気そうでよかったです!」

地元の人「元気だよー、それより三島がお亡くなりになって残念だわ。つい先日までは元気そうにしていたのにねー」

と、残念そうにするおばあちゃん。

青年「ええ、そうですね。僕はおじいちゃんが大好きでしたけど今は吹っ切れました。」

地元の人「あらあら、成長したわねー。行先は分かるわよね。ちゃんと最後までお見送りしないと。」

青年「はい!毎年来てますから大丈夫です。一人で掃除は大変ですが頑張ります!!」

地元の人「あら、頑張ってね」

おばあちゃんを後にしてしばらく歩きおじいちゃんの家に着いた。


古い一軒家で2階建、おまけに五右衛門風呂まである古さだ。

いかにも何か出てきそうな井戸もあり少し怖い雰囲気はあるが親しみの場所だ。

青年「子供の頃はよくあそんだっけなー」

家の周りを徘徊してみた。

懐かしい記憶を思い出しながら生い茂る草木を分けて進んだ。

草を分けてくと細い小さな川があった。

青年「子供の頃にあそこに落ちたことあったけなぁ」

懐かしみに浸りながら来た道を戻り玄関についた。

ゴソゴソとリュックの中を探し、裏ポケットから鍵を取り出した。

ガチャッキーっと扉を開け家に入った。

辺りはシーンとしていた。

青年「おじいちゃんただいまーって言っても誰もいないか」

おじいちゃんは先日亡くなった。

つい最近までは旅をしていたくらい元気でしたが突然倒れたのだ。

その時、偶然回覧に来ていた地元の人に病院に運んでもらったのだ。

1週間前は電話もして旅をやめたと言っているし、なんの旅かは教えてもらえなかった。


他の家族はおじいちゃんを毛嫌いするし僕一人しか看取りに来なかった。

仕事は忙しかったが急いで早退し2時間半かけて病院に着いたのだ。

その時は容体が悪化していて医師の方に助からないと言われた。

親も来てほしかったけど色々あったからなかなか関係を修復するのに時間がかかるものだと思った。

でも、最後くらい来てほしいと思った。葬式も日を開けて一応は開くけど家族葬になると思われる。

青年「最後くらいなぁー」

と、ため息をついた。

早速部屋の掃除をして遺品の整理を始めた。



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