模様

保育士という仕事柄。

ほっとけないだろ。

姪っ子ヒナとともに駆け寄ることにした。


女の子の膝のところ、血がにじんでた。


どうやらコケた模様...。

「大丈夫か?」


声をかけるも泣きじゃくってる。

返答は無い。


「とても痛そう」とヒナ。


「俺、絆創膏持ってる。

あとウエットティッシュもあるから

それで消毒して、、と」

その女の子にとっては。

見ず知らずの俺だけど。

「ほら...」

背中におんぶしてあげることにした。

とりま、遊園地内を歩く。


「それにしても、親とかいないのかな?」


「迷子になったとか?」とヒナ。


「あ、もしかして迷子か?」


背中にいる女の子にそっと声をかけると、小さな声で背後から、うんと聞こえた。


「おねぇちゃんとはぐれちゃったの」


「お姉ちゃんね...一緒に探そう」


「あ、、そだ喉乾いてないか?

なんか飲む?」


俺は目に入った自販機を見てそう尋ねた。


「うん」


「ヒナも飲むー」


「ねぇ、何飲む?ヒナと一緒のにする??」


年が近いヒナが話しかけてて、

まぁ、少しだけ女の子は気を許したみたいだった。


「あたしポカリ好きなんだよ」


「おおー、ポカリ、わたしも好きー」とヒナ。


「俺は、コーラにしよ」


「え、コーラ甘過ぎじゃん

歯に悪いらしいじゃん

骨に悪いらしいじゃん」


「少しならいいの

大丈夫だと思う(自信ねーけど」




ガチャン

ガチャン

ガチャン


自販機から飲み物が勢いよく落ちる。


3人してベンチに腰掛け、休憩した。


「おにい、開けて」


「おう」


子供らふたりの飲み物を渡す前に

俺は缶のプルタブに手をかける。

2人ともまだ力ないからな。



「早くお姉ちゃんに会えるといいな」


「そのうち会えるよー

大丈夫大丈夫」


「ねぇねぇ、名前は?

何歳??」


ヒナはマシンガントークを開始した。


「チナツ。

いま、5才」


「え、5歳?私と一緒じゃん!!

私はヒナ。鴨川保育園に通ってるのー」


「ねーね、好きなアニメとかある??」


「うーんと、スパイファミリーかなぁ」


「アーニャかわいいよねー」


「ねー」


そんな会話が弾み、

俺は迷子センター?があれば

そこに連れて行こうと思っていたんだが。

そんなことはしなくても良くなった。


なぜならば。


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