決闘書店

Blue Jacket

第1話 決闘書店との出会い

「なぁ水沼、決闘書店って知ってるか?」


 ある日の放課後、帰るのがちょっと面倒で、ちょっと教室でダラダラしていた。

その時、クラスメイトの松本くんが突然そう聞いて来た。


「決闘書店? 聞いたことないよ。格闘技雑誌の出版社?」

 そんなの初めて聞く。というか本屋の名前じゃないな、どう考えても。


「ほら、これ見てみろよ」


 松本くんは自分のスマホの画面を僕に見せて来た。

 受け取り画面を見ると、SNSサービス"ツブヤイター"のアカウント名のことだった。


 決闘書店。


 カバー画像は書店のレジらしき場所に本を読んで座る女性店員。残念ながら顔は見切れていて写っていない。

 アイコンはくちばしの長い白い鳥の写真。


 プロフィール文を読んでみる。


『決闘書店は、いつでもどこでもあなたが決着を着けたい相手と、読書で白黒着けるお手伝いをさせていただきます。気になった方はDMを。 店長 遠野朱鷺子』


「何これ? 何なのこのアカウント。松本くんがフォローしてんの?」


「いや、『おすすめユーザー』で出てきたんだ」


「松本くんもヒマだねえ。意味わかんないよ、『読書で白黒つける』って一体何なの?」


「いや、俺もわからんけど。何か気にならないか? お前本が好きだろ?」


「好きってほどじゃないけど、確かに読むには読んでるよ」


「なあ、ちょっと問い合わせしてみようぜ」


 そう言って松本くんはぼくの手にあった自分のスマホを取ると、そのアカウントをフォローして、DMを送った。


「おっ、返信が来たぞ」


 軽快な通知音がスマホから聞こえると、松本くんはすぐにそのDMを読んだ。


「おい、なんだこれ………」

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