エピローグ




 馬車に揺られる綾人は、夢を見ていた。


 「ダメよ。こんなんじゃダメ――――」


 低く淡々と告げられる言葉に、綾人は胸を締め付けられる思いをする。

 何度も何度も聞いてきたその言葉は、綾人の心を壊し、思考を縛る。

 同い年の女の子たちを助けても、それは変わることなく、綾人は染められていった。

 幼少の頃から小学生になる時には、既に反抗することもなくなり、ただ従順にその人間に従って生活した。

 しかし、反抗心が偶に顔を出し、綾人の知らぬ間に思いは大きくなっていった。

 そんな時、謎の光が綾人を襲う。

 そして――――そこで綾人は目を覚ます。


 「おい、国境を越える」


 馬車を操る召喚者の言葉に、綾人は呆れ果てて一言告げてもう一度眠りにつこうとする。

 ただ、そこでこれからどうするのか考えさせられる。

 そのため、綾人は自分のやりたいことを邪魔されたくない。好き勝手に生きてみたいと思い、


 「俺は…………何者にも縛られず、自由に生きる」


 と宣言し、新たな人生を歩み始める。



 以後、彼の行動は、常識を壊し、世界を変える。

 一方では崇拝され、もう一方では、忌み嫌われる。

 そんな、青年の英雄譚。

 伝承される悪魔話。


 これは、一人の青年が愛を知り、世界を救う物語。

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