雪月

オオカミ

雪月

家の灯りやお店の明かり、車のライトや街灯

夜になると色々な光が夜道を照らす。

冬の厳しい道をも照らす灯りは暖かな色をしている。

僕はその人工的な光の暖かさが嫌になった。

光を避けるように人工の光がない方へと歩いていた。

気がつけばそこは人気のない田舎道に居た。

街灯もなく、民家も寝静まり、空も曇り

明かりのない道を歩いていた。

誰も歩いていない雪道をただ無心で歩いていた。

夏であれば虫が鳴いていそうな場所も今は

僕が歩く音だけが静かに響いていた。

しばらく歩くとバス停に置いてある椅子の雪を払い、

肌寒さを感じる気温の中、ゆっくりと腰を下ろした。

どれほどの時間が経ったのか分からないほど

時間を過ごしたのだろう。

ふと顔を上げると雲が少しずつ

動いていることに気付いた。

その雲の隙間から星々や月の光が雪道を照らした。

人工的な光とは違い、月や星の微かな光が反射し

雪の白さを増しながら、道を明るくしている。

僕は自然の光の暖かさが身に染みる様で

気がついたら目から涙が流れていた。

涙の温かさを肌で感じ、昔の友人を思い出した。

今は亡き友人の温もりも思い出し僕は笑っていた。

僕は立ち上がり自分の足跡が残っている雪道を

顔を上げながらまた明日を生きる為に歩き始めた。

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雪月 オオカミ @DendokuTOKAGE

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