愚かな男の末路
こばおじ
第1話 マッチングアプリ
男は28歳。
大学生の頃に1度だけ彼女がいたことがあったが、社会人1年目に彼女も男も仕事が忙しく連絡頻度が落ち心の距離が離れてしまったことで振られた。
それ以降男はずっと独り身だった。
アラサーになり、30歳もまもなく訪れようとしている時、男はこのままじゃまずいと思い、マッチングアプリたるものをやろうと意を決した。
年齢や趣味、年収、その他いろんな質問事項に記入して登録を済ませた。
そして2~3日経過し、数人の女性とマッチングに成功した。
1人目はアニメが好きな女性だった。
男もアニメ鑑賞が趣味だった為、それでマッチングしたのだろう。
2人目は音楽が好きな女性だった。
男もまた音楽が好きだった為だろう。
3人目は特に共通の趣味などはないのに何故かマッチングした。
それ以外にも男は毎日数多くの女性にいいねを押していた。
美人な子、趣味が合いそうな子、住んでいる場所が近そうな子など、片っ端からいいねを押していた。
アニメが好きな女性と1回目の会う約束をした。
時間は昼間、適当にランチをしてお話する流れとなった。
その女性とは同じ趣味を持つだけあり話が弾んだ。
どちらかというとBL界隈で人気のある女性向けアニメが好きなタイプだったが、大衆人気のあるアニメも好きなようだった。
2軒目にも移動し、2~3時間過ぎるのもあっという間だった。
男は次はこういうところへ一緒に行きましょうと別れ際に女性と次の約束をした。
しかしその女性からはその日以降、連絡が返ってくることはなかった。
男は何がだめだったのだろうか、何か気を悪くさせるようなことをしてしまったのだろうか、と反省した。
しかし考えても考えても答えは出なかった。
男は次に3人目の共通の趣味などがない女性と会う約束をした。
カフェでお茶をしながら話をしているとその子はカメラ好きということがわかった。
男はカメラを持っていなかったが興味はあった為、カフェを出ると近くの家電店にその子と移動した。
男はカメラの知識も皆無だった為、その子に説明をしてもらいながらカメラを見て回った。
どんなものがあるかをその子からある程度説明してもらったところでその子は時間だからと帰って行った。
男はまたやってしまったと思った。
その子と話をするのをそっちのけでカメラに夢中になってしまっていた。
こりゃまた連絡が返ってこないかもしれないなと男は反省した。
しかし、その子とはその後も定期的に連絡をやり取りした。
最後に男は2人目の音楽好きな子と会う約束をしようとした。
しかし、その女性からは会う以前に、連絡が返ってくることも既読がつくこともなかった。
男は考えた。
正直一番付き合いたかった子は音楽が好きな子だった。
その子はその3人の中で比較しても一番美人だった。
次に付き合いたかった子はアニメが好きな子だった。
趣味が合うのは大きいのと、そこそこ美人だったからだ。
そうなると自然と最下位になってしまうのがカメラの子だった。
こんなこと言ってはならないがお世辞にも美人とは言えない。
しかし一生懸命カメラを説明してくれたところは良かった。
でもその子とは付き合いたいか? と考えるとそうは思えなかった。
男はそんなことを考えながらその日もたくさんの女性にいいねを押した。
そうしていくうちに新しく何人かとマッチングすることができた。
しかし、1回目の食事以降連絡が返ってこなくなったり、そもそも約束ができなかったりしたこともあり、男は新しくマッチングした子らと会う約束をするのが億劫に感じていた。
"またブロックされるんじゃないか"とか、"会う約束もできないんじゃないか"と思うようになった。
男はカメラの子とはその時もやり取りを続けていた。
その子は必ず連絡が返ってきた。
男は次第にその子に心を許すようになり、2回目の会う約束をした。
その時にはお互いに冗談を言い合える程の砕けた仲になっていた。
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