夜が消えた日

夕日ゆうや

「さあ、夜明けです。全ての人類が太陽の温もりを知ることでしょう」

 そう言って地球を包む鏡が動き出す。

 太陽の光が届かない場所などない。

 特殊な金属で出来た鏡は熱は伝えずに光りだけをもたらす。

 これで夜はなくなった。

 夜が消えた日。

 それが今日である。

 犯罪のほとんどが夜に行われる。だからこのサンライト計画は実行された。

 二十時を回ってもなお照らされ続けている。

 もう危険なことなんてない――人類はそう考えていた。

 そして地球のいたるところに設置されたソーラーパネルは電気を生み出し続けている。

 その二つの利点を考慮すれば、サンライト計画は地球のみんなに納得してもらえるだろう。

 とどまることのない発展は人口を増やし、世界のあらゆる問題を解決してきた。

 遺伝子治療。再生医学。機械工学。

 様々な分野で発展してきた昨今。

 問題はほとんど残っていない。

 あるのは、徹底的に管理された社会システムくらいか。あるいは、それに反発する一部の犯罪者か。

 とにもかくにも、夜はなくなった。

 これで窃盗や誘拐といった犯罪はなくなるかに見えた。

 だが、実際は犯罪が増えてしまった。

 なぜか分からなかったが、しばらくしてホルモンのバランスが崩れた人類がストレスを感じ、それを解消するために犯罪に手を染めると分かった。

 地球は地球のままで良かったのだ。

 休息をとるため、は必要だったのだ。

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夜が消えた日 夕日ゆうや @PT03wing

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