最終話 マイカ・アウローラは強制ログアウトする
叔母で錬金術師のレティシアと一緒に『探知の鳥』の軌跡を追って路地裏の奥に進むと、五人の男たちに囲まれた少年二人が
その直後、目の前が真っ暗になる。真っ暗な視界に、白い文字が見えた。
『強い揺れを感知しました。強制ログアウトを実行します』
何が起きたの……っ!?
私の意識はそこで途切れた。
目を開けると、私の部屋の天井が見えた。揺れている。横に揺れているのと同時に、ベッドから突き上げられるような揺れが襲う。
スマホからはけたたましいアラーム音が鳴り続けている。
「なにこれ、なんなの……っ!?」
本棚から本が飛び出して落ちた。机の上に置きっぱなしにしていた物も床に落ちる。
怖い、怖い、どうしよう……っ!?
私がベッドから動けずにいるうちに、少しずつ揺れが収まって来た。
「舞花、舞花、大丈夫……っ!?」
悲鳴のようなお母さんの声がした。階段を駆け上がって来る足音がする。
私は着けていたヘッドギアを取り払って部屋を飛び出した。
……私の住む地域を襲ったのはマグニチュード8を超える大地震だった。
地震発生から一週間が経っても、まだ余震が続いている。
私は地震に襲われた日からファンタジーVRMMO『アウローラの錬金術師』をプレイできなくなった。
ヘッドギアを手に取ると、大地震に襲われた時のことを思い出して怖くなってしまうのだ。
いつか、余震がおさまって。
いつか、またファンタジーVRMMO『アウローラの錬金術師』をプレイできる時まで。
私はファンタジーVRMMO『アウローラの錬金術師』のゲーム機器とヘッドギアを箱にしまった。
【アウローラの錬金術師・完】
アウローラの錬金術師 庄野真由子 @mayukoshono
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