7 根付

 物であふれた家の前に、私はひとり佇んでいた。

 この場所を初めて訪れたのは、千鳥の事件が起こる前のこと。季節は晩秋の頃だった。今はそろそろ気候も春めいていて、あのときのような冷たい風は吹いていない。まだ暖かいとまでは言えないまでも、どこか寒さのゆるんだ空気が、これからの陽気を予感させた。

 見たところ、かごめさんの家にあの頃と変わった様子はない。

 身寄りのない人が亡くなった場合、その財産は最終的に国庫に入ることになる。今はおそらく相続人や、残された財産と債務の調査が行われているのだろう。きちんと手続きが進められていれば、の話だが。

 その辺り、全く身寄りがない場合はいろいろと問題もあって、そう簡単にはいかないことも多かった。この家に残る遺品が整理されるのも、まだ少し先のことになるかもしれない。

 とはいえ、私はそれらをどうこうしようと思っていたわけではなかった。家に侵入するつもりもない。今のところは、まだ。

 訪れた理由は、単にこの場所をもう一度見ておきたいと思ったからだ。どうせ遠出をして、近くまで――と言うほど近くもないのだが――来たなら足を伸ばしてみようと、そう考えただけだった。

 かごめさんの家を眺めながら、私は周囲を少し歩いてみることにする。そうしていると、自然と日記帳の内容が――かごめさんの波乱の毎日が思い起こされた。

 しかし、彼女はもう、ここにはいない。日記の中で生き生きと書かれていた日常も、今となっては過去のものだ。しんとした家の雰囲気が、何よりそれを物語っていた。

 物が無くなってしまうのも悲しいが、持ち主を亡くした物というのも、やはり物悲しいものではある。

 少し離れて、かごめさんの家を遠目に見られるところまで来たとき、私はふと、自分と同じように家の方をじっと見ている人影に気づいた。

 男性だ。近所の人だろうか。と思ったのだが、見た感じ軽く散歩という出で立ちでもない。とはいえ、あれだけあからさまに見ているのだから、まさか無関係ということはないだろう。亡くなったかごめさんの縁者――ではなくとも、知り合いくらいならあり得るかもしれない。

 しかし、それにしては若いと思った。私と同年代くらいだ。別にかごめさんに若い知り合いがいてもおかしくはないが、交流があったなら日記帳に書かれていてもいい気はする。

 そう考えたとき、不意にやえさんという人物のことを思い出した。目の前の彼がまさか――ということはないだろうが、やえさんと呼ばれていた人物は確かに近くにいたはずで――そちらの縁者とも考えられなくはない。

 何にせよ、誰もいないあの家を見つめ続けているからには、あの場所に――あるいは、亡くなった家主に――何か思うところがあるからだろう。と、同じような立場の私はそう考えた。

 彼がここにいるのは、彼女のことを懐かしむためか。あるいは――

 あるいは?

 そのとき思い出したのは、西洋人形のことだ。

 人形と共に私の元に届けられた物については、そのほとんどが例の火事によって焼けてしまっていた。もはや、あれらのどれかが怪異を起こすかもしれない、などと心配することはない。ただ――

 そもそもなぜ、あれらが私のところにもたらされたのか。誰の仕業で、どんな目的があったのか、それがわかっていなかった。その謎を解く鍵のひとつは、人形に仕掛けられていた盗聴器ではないかと、私は思っている。

 梓は以前、人形がふたつあった可能性を示唆していたが、それについてはどうも納得できないでいた。人形が私への脅しだとしても、わざわざそれに盗聴器を仕込む必要はない。秘密箱ではないが、それこそ適当な箱に入れて意味深に封でもしておけば、少なくとも私はそれをすぐに開けようとはしなかっただろう。

 そう考えると、あの人形にはやはり、それを仕掛けられるような細工が、もともとあったのではないだろうか。

 かごめさんの家から持ち出された時点では、あの人形にはまだ、古い盗聴器が残されていたのかもしれない。だからこそ、人形を手に入れた者はそれに気づき、同じようにそれを仕込むことを思いついたのではないか。わざわざ同じ人形を手に入れて、細工を施して、という手間と必然性を考えれば、そちらの方が自然であるような気がした。

 しかし、だとすればやはり、かごめさんの周囲にも、彼女を監視しようとしていた者がいたわけで――

 私がそんなことを考えているうちに、男は唐突にこちらの方を振り向いた。明らかに私のことを見ている。しかし、訝しむ様子もなく、私のことを不審に思っているようでもない。

 何だろう。私は思わず立ち去ろうかとも考えたが、こちらは何もやましいことなどしていない。むしろ、逃げたりする方がおかしいだろう。そう思って平然としていると、男はおもむろにこちらの方へと歩き始めた。

 時間はまだ昼前だ。住宅街だが、思いのほか人通りも多い。こんな状況で何が起こるとも思えなかった。

 私はそう思い、覚悟を決めて彼のことを待ち構える。

 男は目の前で立ち止まると、私にこう問いかけた。

「あの家に住んでいた方の、ご親戚の方ですか?」

 表情のない顔。感情が読めない。何を考えているのかわからない。

 何にせよ、この男はやはり、かごめさんの家を見ていたらしい。そして、私が見ていたことにも気づいていたようだ。

 私は首を横に振る。

「いいえ。そういうわけではないんだけど。少し……縁があって。ただ、葬式にも出られなかったから、気になっていて」

 私はそう答えた。嘘はない。

 しかし、男はそれに何の反応をするでもなかった。何かおかしなことを言っただろうか。相手が無表情だと、こちらもどうするべきか、どうにも判断しにくい。

 だから、私はさらにこう言った。

「突然のことだったでしょう? だから、詳しく知らなくて。でも、身寄りがなかったようだから、お葬式もなかったのかもしれないけど――」

「では、ご存知ないのですか」

 男はやはり無表情のまま、そう口を挟んだ。

 何をご存知ないと言うのだろう。

 私が戸惑って口を噤むと、男はこう続けた。

「ここの住人。不審な亡くなり方をされたそうですよ」

 男が口にしたのは、そんな言葉だった。私は思わず顔をしかめる。

 不審な亡くなり方。そんな話は聞いていない。いや――今でこそ、私は日記帳で彼女のことをいろいろと知っているが、当時はあくまでも取材をしようと考えていただけの相手だ。さすがにその死の状況を、事細かに聞いたわけではない。

 確かに、新聞に掲載されていた時点では、詳しいことを捜査中であるような内容だった。しかし、続報もなかったので、私は特に事件性はなかったのだと、そう判断したのだが――違ったのだろうか。

 私の困惑などものともせず、男はただ話し続ける。

「この辺り、お年寄りのひとり暮らしが多くて。地域でよく見回りをしているそうです。気づいたのはその方らしくて、何でも、ある日を境にしばらく行方不明だったのだとか。この家の住人の方」

 行方不明。かごめさんが。それは死の直前に、ということだろうか。いったい何が――

 淡々とした彼の語りに、私は知らず引き込まれていく。

「見つかったのは、臭いに気づいたからです。だから、警察の立ち会いで、捜索する、ということになって。家の中を。それで、その人、壁に埋まってたそうですよ」

「え?」

 私は思わず、そう声を上げた。男の表情は変わらない。

「いや――厳密には、壁と壁の隙間だかで亡くなっていたそうですが。何にせよ、普通じゃありません。警察は事件として捜査もしたようですが」

 家の中。壁と壁の間。壁の向こうを――這うもの。

「無理なんですよ。狭すぎて。そこに死体を運ぶことも、押し込むことも。現実的じゃない。だから、本人が何らかの理由で入り込んで出られなくなったのだろう、ということになりました」

 私は何も言うことができずに、ただ彼のことを見返した。男は相変わらずの無表情で肩を竦めている。

 私の心中を察したかのように、彼はさらにこう続けた。

「仕方がありません。それが一番、現実的だったのでしょう」

 現実的。確かに現実的に考えれば、そうなるのだろう。しかし、それがもしも怪異だったとすれば――

 それにしても。

「あ、あなたは何なんですか。この家に住んでいた」

 かごめさんの何を知っているのか、と言いかけて、私は口を噤んだ。この男が何者なのかわからない。下手なことは言わない方がいいだろう。落ち着きを取り戻し、平静を装ってから、私はあらためてこう問いかける。

「その方とは、どういったご関係で?」

 男はしばらく、じっと私のことを見返していた。しばらくして、彼はようやく口を開く。軽く首を傾げながら。

「さあ。あなたこそ、ここに住んでいた方の、いったい何なのですか?」

 私は何も答えなかった。答えられなかった、と言うべきか。相手の素性が知れないことで警戒したこともあるが、そうでなくとも、私と彼女の関係性など、ひとことでは言い表せないだろう。

 私が曖昧な返答をしていると、男は私のことに興味を失ったのか、それでは、とだけ言い残して去って行った。




「それで? どうだったんだ? その――骨董屋敷の方は」

 車窓から外の景色を眺めながら、梓は不意にそう尋ねた。

 走行する車の中。運転しているのは伊吹で、私と梓は並んで後部座席にいた。

 事の起こりは伊吹からの連絡だ。何でも、鷹の根付についてわかったことがあるから、できれば実家まで来てもらえないか、とのこと。

 梓を通じてそれを知らされた私は、特に迷うこともなくその申し出を受けた。わざわざ彼の家に行くことを訝しく思わないでもなかったが、あの動く根付については、私も詳しく知りたいと思っていたところだ。となれば、私にそれを断る理由はない。

 ともあれ、そういった経緯で私は梓と共に伊吹の生家へと向かっていた。

 彼の郷里は群馬だ。まずは新幹線で東京に行くことになるので、私はついでにかごめさんの家を見て来ることを決めた。そのため、私は一足先に東京へと向かい、そこで一泊してから、梓とは目的地に近い駅で合流している。

 そこからは、伊吹が運転する車での移動だった。何でも、彼の家の周辺には公共の交通機関がないらしい。詳しい場所は聞いていないが、どうも恐ろしく山奥にあるらしかった。車に乗ってからしばらくした今、確かに見える景色のほとんどは木ばかりだ。

 そうした風景を眺めながらも、私はかごめさんの家で起こったことについて考えていた。奇妙な男と、その男から聞いた彼女の死について。

 それだけが原因というわけではないが、車内は妙に静かだった。話は目的地に着いてから、ということなのか伊吹は何も語らないし、梓もまた不自然に大人しい。しかし、その気まずい空気の中、最初に話題を振ったのは梓だった。

 かごめさんの家がどうだったのか。その問いにどう答えるべきかを迷って、私は思わず顔をしかめた。

 あの男のことを梓にも話しておくべきだろうか。しかし、その正体はわからず、彼の言ったことが正しいかどうかも確かめられていない。そう考えると、話すにはまだ早い気もした。

 考えた末に、私はこう答える。

「特に変わったところはなかったけど」

 その言葉に、梓はちらりと視線をこちらに寄越した。しかし、私が何でもない顔をしていると、梓は無言でその目を車外へと戻す。

「何だか不機嫌そうね」

 私は思わずそう言った。梓は窓の方に寄りかかったまま、軽く首を横に振った。

「そういうわけじゃない。車は少し苦手なんだ」

 その声は、思いのほか弱々しい。単に乗り物酔いを気にしていただけのようだ。私が拍子抜けしていると、やりとりを聞いていた伊吹が軽く笑う。

「この先しばらく、曲がりくねった山道が続くので車酔いしやすいんです。一宮さんも、なるべく遠くを見ていた方がいいですよ」

 伊吹からは、そんなアドバイスを受けた。とはいえ、道の周囲にはただ木が生い茂るばかりだ。遠くを見るといっても、後方へと流れていく木立がそれを妨げる。

 それでも私は、大人しくそれに従うことにした。ここから、どれだけ時間がかかるのかもわからない。伊吹の方は慣れたものなのか、静かな車内を特に気まずく感じる様子はない。

 しばらくすると、伊吹が唐突にこう告げた。

「あ。ここから先が、うちの土地です」

 ここ、というのがどこなのかわからなかったが――彼がそう発言してからも車はまだ走り続けている。何より、目的の家が全く見えなかった。

「まだ、山の中なんだけど」

 私は恐る恐るそう指摘したが、伊吹はしれっとこう返す。

「そうなんです。うちがあるのは、元は隠れ里だったらしくて」

 隠れ里。私はとりあえず、そう、とだけ呟いて、話を流した。おそらく冗談ではなかったのだろうが、咄嗟にどう返していいか、わからなかったからだ。

 山中の変わらない風景に目をやりつつも、考えた末に私はこう尋ねた。

「でも、一本道じゃなかった? 特に変わりないけど。ここ、私道なの?」

 車が走っているのは、きちんと舗装された普通の道だった。こんな山道の、しかも私有地で、ここまで整備されているものだろうか。

 しかし、伊吹は平然とこう返す。

「気づきませんでしたか? さっき別れ道に入ったんですが。確かに、わかりにくいですけどね」

 伊吹はそこで、軽く肩を竦めた。

「そのせいで、たまに迷い込む人もいるんです。まあ、迷い込むだけならともかく、山菜採りやら山登りやらで来られるのはね……うちの周り、いろいろいるので。あんまり普通の人に入って来られるのは困るんですけど。危ないですし」

 いろいろいる。何がいるのだろう。私はそれについても、尋ねることをためらった。

 思わず梓の方へ視線を向けたが、彼女は相変わらず無言で外を眺め続けている。気分が悪いのかもしれない。うるさくするのもどうかと思って、私はあれこれ言うのをやめにした。

 そうこうしているうちにも木立は途切れ、ぽつぽつと民家が見えてくる。思ったよりも普通の家だ――と思ったが、どうやらその家は目的の場所ではないらしい。

 隠れ里、だったか。しかし、そもそも伊吹は、ここからはうちの土地、とか言っていなかっただろうか。集落にも見えるが、これはいったい、どういうことなのだろう。

 民家を通り過ぎ、車はさらに進んで行く。やがて最奥らしきところまで着くと、そこでようやく伊吹は車を止めた。道の先にあって、行く手を阻むのは立派な門。

 伊吹が、着きました、と言うので、私は車を降りて目の前の門を見上げた。瓦屋根のある、木製の大きく重厚な門だ。閉まっている大門の右側には、人ひとりが通れるくらいの小さな扉がある。左右に伸びる塀は、深い森の中へと消えていた。

「梓さんはここで待っていてもらえますか? 準備ができているか、確認しないと。一宮さんは、どうぞ」

 伊吹はそう言って、私のことを手招きする。

 私は思わず梓の方を見た。彼女は青い顔をして車から出てきたところだ。本当に車に酔ったのかもしれない。

 梓は不機嫌そうな表情で、それでも――さっさと行け、とでも言いたげに、私に向かって手を振っていた。逆らうのもどうかと思って、私は伊吹と共に脇門へと向かう。

 そうして門を潜り、一歩足を踏み入れた先。そこにあったのは、あざやかな色彩で描かれた絵画のような風景だった。

 広大な庭園に、さまざまな木や草花が生い茂っている。一足先に本格的な春が訪れたかのように、梅に桜に木蓮、馬酔木あせび、沈丁花と――とにかく、あらゆる春の花が咲き乱れていた。

 池には橋がかかり、四阿あずまやの向こうには枯山水まである。日本的な庭ではあるが、何だかごった煮という感じだ。この世のものとは思われないこの景色を表現するには、桃源郷といった言葉の方が相応しいかもしれない。

 しかも、その先には御殿と呼んで差し支えないほどに立派な邸宅がある。古そうではあるが、そのことがなおさら歴史の重みのようなものを感じさせた。

 どうやら、とんでもないところへ来てしまったようだ。私はそこに入り込むことをためらったが、伊吹は当然のように歩いていく。仕方なく、私もそれに続いた。

 極彩色の景色の中にいると、まるで夢の中にでも迷い込んでしまったかのような気分になる。とはいえ、あの門を潜る前から、いろいろと現実離れしたところだとは感じていた。

 森閑とした山の中に突如現れた集落に、その先に隠された豪華な屋敷。その存在に気圧されながらも、私は伊吹にこう尋ねる。

「そういえば、門前に集落があったけど、あれは?」

「分家――というか、親戚ですよ。一族というか」

 私は、へえ、とだけしか言えなかった。何と言うか、住む世界が違う。

 御殿と見まごうその邸宅の前に辿り着くと、物影から不意に、妙齢の女性が姿を現した。伊吹の家族だろうか。彼女は私に向かって会釈をしながらも、伊吹を小声で呼び寄せる。

 何かを伝えられて、伊吹は慌てて家の中へ入って行った。私の方を振り返り、ちょっと待っていてください、とだけ言い残して。

 玄関先の軒下に立たされて、私は呆然とそれを見送った。見知らぬ女性とふたり、その場に取り残されてしまう。

「ごめんなさい。少しこちらでお待ちくださいね」

 女性は儚げな声でそう言った。結局待たされるなら、私も梓と一緒に門前で待っていればよかっただろうか。

 そんなことを思いつつ、私は手持ち無沙汰になって周囲を見渡した。あらためて庭に目を向けると、今度はそれを取り囲む森の方が気になってくる。そこは庭の明るさに反し鬱蒼としていて薄暗く、それが妙に不気味に思われた。

 ふと、その木陰に黒い獣の姿を見た気がする。しかし、影に紛れていた上に、素早すぎてよくわからない。犬に似ていたが、何となく犬ではなかったような。

 いや、明らかに犬ではない。しかも、その獣はいつの間にか森の境に立ち止まり、じっとこちら――私の方を見ていた。それも、よく見ると一匹ではないようだ。

 森にわだかまった闇には、いくつもの金色の目が並んでいる。

 体は犬より大きく、尾は太く、遠目でも軽く開いた口に、はっきりと鋭い牙が確認できた。森の中に潜むもの。あんなものに取り囲まれて、この場所は安全なのだろうか。そもそも、あの獣は何なのだろう。

「まさか狼?」

 私の何気ない呟きに対して、佇んでいた女性はこう答えた。

「違います。あれは

 

 何だろう。聞いたこともない。私は思わず、彼女の方を見た。

 そのとき、彼女の足元に何かがすり寄っていることに気づく。ネズミだろうか。しかし、それよりは大きくて丸っこい。

 私の視線に気づいて、彼女はこう言った。

「いいえ。ネズミじゃありませんよ。この子はイズナ」

「い、いずな……」

 私がそう呟いているうちにも、そのイズナと呼ばれた獣は、彼女の元に集まって来る。無数に。それにしても――

 いいえ、と彼女は否定した。私は今、自分でも気づかないうちに何かを言っただろうか。覚えがない。

 呆気にとられた私の目の前を、黒い猫が横切っていく。しっぽが二本あるように見えたのだが――まさか、気のせいだろう。影でも見間違えたか。

「どうしたの。くろがね

 黒猫に気づいた彼女が――おそらくは――その猫の名を呼んだ。猫はこちらへ振り向くと、にやあ、とは鳴かずに――私のことを一瞥してから、ふんと一笑して去って行った。



「何を呆けた顔をしているんだ。鹿子。君も車に酔ったんじゃないか」

 恐ろしく広い座敷に通されて、ひとり待たされていた私の元へ、伊吹に連れられた梓がようやく姿を現した。しかも、私の顔を見て、彼女が発した第一声がそれだ。

 いろいろなことが起こりすぎて、確かにそれをうまく処理できないでいた。何もわからないままに、とにかく聞いたことを話してみる。

「いや。よくわからないんだけど。だとか、いずなだとか」

黒眚しいにイズナ? 何。そんなものがいたのか。見たい」

 ――見たいって。

 無邪気な子どものようなことを言って引き返しかけた梓を、伊吹が押し止める。

「ダメですよ。梓さん」

「なぜだ」

 その言葉に、伊吹は呆れたように肩を落とした。

「なぜって……ご自身の体質をご存知でしょう。うっかり囲いが解けたら困るので。あまり動き回らないでください」

 それを聞いた梓は、あからさまに口を尖らせている。

 梓の体質――強すぎて怪異は近寄れない、だったか。そういえば彼女は以前、霊能者には嫌われている、とか言っていたような。あれはこういうことを指していたのだろうか。ひとり門前に待たされていたのも、梓の来訪のために何か対策をされていたのかもしれない。

 伊吹はどうにかして梓を宥めると、私の隣に座らせた。彼自身は控えるように部屋の隅に陣取っている。

 そこからは、それほど待たされることもなかった。廊下の方で人の気配がしたかと思うと、それに気づいた伊吹が襖を開ける。

 ほどなくして座敷に入って来たのは、齢九十か、もしかしたら百を超しているかもしれない老婆だ。足が悪いのか、中年の女性に介助されている。そのゆっくりとした歩みに合わせて中年の男性が後ろに続き、その次に先ほど私が玄関で見かけた女性が、お茶を乗せた盆を持って現れた。

 曾祖母と両親です、と伊吹が――おそらく私に向かって――こそっとささやく。

 老婆は用意されていた座椅子に腰を下ろすと、梓の方をじっと見つめた。

 真っ先に、お元気そうで何よりです、と声をかけたのは梓だ。その言葉に、老婆は静かに笑みを浮かべている。梓は伊吹の両親とも見知った仲なのか、親しげに言葉を交わしていた。

 梓の方から私のことを紹介してもらい、隼瀬家の人々――伊吹の曾祖母と両親がそれぞれ名乗る。お茶を持って入った女性だけは、給仕が済むと早々に部屋を出て行った。

 ひと通りのやりとりが終わったところで、老婆はおもむろに口を開く。

「さて、何からお話しをしたらよいのか――」

 思いのほかしっかりとした声で、彼女はそう言った。

「すまないが、鹿子はこの家のことをよく知らない。できれば簡単に話してもらえないだろうか」

 梓の言葉に、伊吹の父親が頷いた。

「そうですね。では、私から」

 彼はそう言って、私の方へと向き直る。

「我々は、古代より呪術を用いていた者たちの末裔です。獣に親しみ、飼い慣らす術に長じており、それを今日まで受け継いできました。現在は、巷で幻想とされている生きものを確保し管理することを生業としています」

「幻想の生きもの」

 私はひとまず、そう呟いた。他にも引っかかることはあったが、つい先ほど、見たことがない生きものを目にしたばかりだったので、まずはそのことが気になったからだ。聞いた話については、正直言って、はいそうですか、と単純に受け入れられるようなものではない。

 私のひとことに、伊吹の父親は頷いた。

「ええ。一宮さんは、黒眚をご覧になったとか」

 私が頷き返すと、彼はさらにこう続ける。

「黒眚は江戸時代に編纂された百科事典『和漢三才図絵わかんさんさいずえ』にも記されています。元は中国で確認された獣で、日本では元禄十四年に大和国に出現した獣がこれだと。姿は狸か犬に似て、風のように素早く、人を襲う獣だとあります」

「それを、こちらで保護されている、と」

 私がそう言うと、彼は深々と頷いた。

「そうです。黒眚に限らず、特別な知識がない者には対処が難しい――そんな生きものを対象にしています。基本的に慣らすことができるものはそうしていますが、難しいものは封じる場合もありますね。黒眚については、ご心配なく。周辺の山を守ってくれる、いい子たちですよ」

「ええ。本当に」

 夫人が同意するように頷いた。

 ――いい子たち?

 いろいろと気になる発言なのだが、どこから突っ込めばいいのかわからない。

 何にせよ、どうやらその幻想の生きものとやらについては、見た目ほど恐ろしいものではないらしい。あるいは、彼らが慣れているだけかもしれないが。

 そもそも彼らはなぜ、そんな生きものたちを捕まえて世話しようなどと思ったのだろう。ただ、少なくともこれは、彼らにとって苦になるようなことではない――いや、むしろ喜んで引き受けている――ことのようだ。残念ながら、私はあの不気味な獣たちと親しもうとは思えなかったが。

「それで、根付のことだが」

 この流れでも、梓は平然と話を本題へと戻す。

 老婆はそれに応えるように、どこからともなく鷹の根付を取り出すと、そっと座卓の上に置いた。

 根付を前にして、梓はあらためてこう続ける。

「これの出所について、そちらには心当たりがあると聞いている。元はこの家で保護されていた物、ということでいいだろうか」

 梓はそう念を押したが、老婆はそれに対して、ゆるゆると首を横に振った。

「いいえ。そうではありません。これは、とある者の後始末のために、うちで作った物なのです」

「この家で、作られた?」

 梓は意外そうな顔をしている。

 老婆は根付を再び手に取ると、その皺だらけの指で鷹の意匠を優しく撫でた。そして、感慨深げにこう呟く。

「はい。とても、懐かしい物です……」

「懐かしい」

 私が思わずそう言うと、老婆は嬉しそうに笑みを浮かべた。

「私の父は、こういったものを作るのが得意でした。これは、父が作った物なのです」

「そうでしたか。良い品です」

 と、すかさず声をかけたのは梓だ。

「ありがとうございます」

 老婆はそう言って、深々と頭を下げる。しかし、老婆が次に顔を上げたとき、その表情は曇っていた。

「ただ、これが封じられていたということは」

 それだけ口にして、老婆は黙り込んでしまう。伊吹の母親が、気遣うようにそっと老婆の肩に手を当てた。

 深いため息をついてから、老婆は再び口を開く。

「昔、うちが捕らえた生きものに、いっとう変わったトウビョウがおりました」

 ――とうびょう?

「蛇の憑きものだ」

 私の疑問を察して、梓がそう言った。しかし、蛇はともかくとして、憑きものとは――

 わからないことはひとまず置いておいて、私は老婆の話に集中する。

「どうにも我らでは御せぬとして、封じるはずだったのですが――それに、魅入られた者がおりまして」

 魅入られた。その言葉に、私は思わず顔をしかめる。

 どちらかというと蛇が苦手な私には、よくわからない感覚だ。しかし、ここにいる人たちは動物好きのようだし、そういうこともあるのだろう。

 老婆はこう続ける。

「その者は、トウビョウを伴って、行方が知れなくなってしまったのです。あの時期は国全体が混乱しておりましたから、追うこともできず」

「混乱――戦中か?」

 そう尋ねたのは梓だ。戦中。おそらく太平洋戦争のことだろう。

 老婆はゆっくりと頷いた。

「この鷹は、そのトウビョウを始末するために放ったのですが、まさかこのような形で封じられていたとは。本来であれば、あれは我々が処理しなければならないものでした。一度でもこの家に招き入れたものが他に害を為すとわかれば、草の根分けてでも探し出し、自ら手を下すのが我らの掟。しかし」

 そこで老婆は再び、深いため息をつく。

「あの頃は時代が変わるときでもございましたし、結局、この鷹を放つのみで放逐することになりました。それどころではなかった、ということもありますが」

 老婆はそう言い終えると、苦々しげな表情で口を閉じた。

 何を思っているのだろうか。鷹の根付を持ったまま、彼女はそれをじっと見つめている。

 梓は考え込むようにふむと唸ると、こう尋ねた。

「それで、その――トウビョウを持って消えた者の名は? その後どうなったか、ということは、さすがにこちらではわからないか」

 その問いには、伊吹の父親が答える。

「いえ。こちらでお調べ致しました。どうも、戦後に会社を興し成功していたようで。その地域では、名士として知られていました」

 そう言って、彼はその会社の名を口にする。

 しかし、私はその名を耳にしたことはなかった。成功した会社といっても、ローカルなものらしい。ただ、いろいろと手広くやっているらしく、その地方で中心となっている企業ではあるようだ。

 伊吹の父親はこう続ける。

「ただ、その者自身は、今はもう亡くなっていました。会社も血縁ではない者が継いだとか」

 では、そのトウビョウとやらは――どうなったのだろう。鷹の根付はそれを退治するために放たれた。しかし、それは何者かによって封じられていたと言う。だとすれば――

「その憑きものは、富を増やす性質のそれか?」

 梓は唐突にそう尋ねた。

「富を増やす?」

 私が思わず口を挟んだので、梓は憮然とした顔でこちらを見てくる。軽く肩を竦めてから、彼女は私にこう問いかけた。

「そうだな……鹿子は憑きものは知っているか」

 私は咄嗟に曖昧な反応をした。おそらく、彼女が理解しているほどには、それについて私は何も知らないだろう。

 とはいえ、それでは話が進まないので、私はひとまずこう返した。

「狐憑き、とか? 昔はそんな風に言われていた、とは知ってるけど。精神系の病について理解がなくて、そう考えられていたとか」

 梓は困ったような表情で、小さく唸る。

「そうなるか……それとは少し違うんだが――まあ、憑きもの、と言ってしまうと範囲が広いな。私が言ったのは、いわゆる憑きもの筋が使役する霊のことだ。これに憑かれている家系は栄えるが、婚姻を結ぶなどすると憑かれるとして、忌み嫌われていた」

 何となく聞いたことがあるような話だった。ただ、これだけでは何とも判断しがたい。大人しく話の続きを聞くことにする。

 私がひとまず相槌を打つと、梓はこう続けた。

「それで、その憑きものを使役しているとされる家には、ひとつの特徴が見られると指摘されている。それが、いわゆる成り上がり――急に富を得て裕福になったような家が多い、ということだ。突然羽振りがよくなったのは、何かよからぬことを――あやしげなまじないなどに手をつけたに違いない、といったところだろうな」

「待って。それって、どうなの? 本当に憑きもののせい?」

 私はそう突っかかったが、梓は平然としている。

「どうなのと言われてもな。憑きもの筋の民俗信仰については、多くは江戸時代――つまり身分がある程度安定した時代に起こったと言われている。そういう状況で突出した者がいれば、周囲には奇異に思えたのだろう。財を成した者に悪どい者がいなかったとは言い切れないが、その者の努力だったり、あるいはただ単に――それこそツイていたりと、さまざまだろうな。しかし、部外者にそんなことはわからない。そう理解するのがわかりやすかった、ということだろう。だからまあ、ほとんどがただのやっかみだ――と、少し話が逸れてしまった」

 梓はそこで姿勢を正すと、老婆の方へ視線を向けた。

「ともかく、憑きものは富を与え、あるいは周囲からそれを奪うという性質を持っている。まあ、他にも嫌う相手を呪うなど別の面もあるが、それについては置いておこう。で、そのトウビョウは――富をもたらすものだったのだろうか」

 彼女はあらためて、そう問いかけた。

 ただのやっかみと言うわりには、梓は当然のように蛇の憑きものを受け入れている。奇妙に思わなくもないが――そういえば、梓のスタンスは基本的にそれはそれ、だ。だから、これもそういうことだろう。

 老婆の答えはこうだった。

「何と申しますか、あれについてはもっと古く、特殊なものでしたので……どちらかというと、富に限らず、あらゆるものを貪欲に呼び寄せるのが本性なのです。そうして徐々に増えていき、やがて養えなくなればその者を食らう、といった性質は――他の憑きものとも似ているでしょうか」

 梓は納得したように頷いた。そして、続けてこんなことを言い始める。

「なるほどな。山内かごめ――だったか、もしかしたら彼女は物を拾っていたのではなく、憑きものを拾っていたのではないだろうか?」

 唐突に出てきたかごめさんの名に、私は、はっとして目を見開いた。

 彼女の住まいだった、物にあふれた一軒家。どこからともなく物を拾ってくる、その悪癖。日記帳にはそれらの名が几帳面に記され、表から見た限りは、その物を粗末に扱っているような様子はなかった。

 彼女はなぜ物を集めていたのか。その理由が、憑きものを拾うため、とは――どういうことだろう。

 梓は私のことをちらりと横目で見ながらも、考え込むように俯き、こう続けた。

「憑きものを落とすために、わざとそれが憑いた物を拾わせる、ということはよくある。あるいは、憑きもの筋の家から古道具などを買うかして手に入れた際も、憑いてくることがあると言う。それとは逆にうっかり落としてしまった物を拾われて、憑きものを失うこともあるが」

 梓はそこで顔を上げた。

「とにかく、憑きものは物を介して、主を変えるか、あるいは広がるかする。そして、憑きものは大抵、養い切れない早さで増えるものだ。しかし、御せないはずのトウビョウを御し、呼び寄せられた富だけを得ていた――とすれば、それは誰かが、養えなくなった分のトウビョウを引き受けていたからではないだろうか」

 梓の話を聞いた老婆は、困惑しながらもこう言った。

「そう、ですね。身内ですので、ある程度は憑きものの扱いにも慣れていたとは思いますが、それでもこちらで封じることを決めたはずのものですから、そう簡単に扱えるとは思えません。そのトウビョウを養うために、何らかの――犠牲を強いていた可能性はあります」

 犠牲。その言葉が、私の心に重くのし掛かる。彼女の日記を読み、彼女の日常を知った気になっていた。しかし、その裏には――

 私は呆然としながらも、こう尋ねた。

「でも、かごめさんが引き受けていたとして、どうしてそんなことを?」

 梓は首を横に振る。

「わからない。そういう役割として、何らかの契約があったのかもしれない。助言者がいたのだろう? ひとまず切り離して、それを対処する。そういう流れを作ることで、直に災厄を被ることを防いでいた、とも考えられるな」

 だから、彼女は怪異に悩まされながらも、それを拾い、対処していたのか。そして。

 ――壁と壁の隙間だかで亡くなっていたそうです。

 ふと、ここに来る前、奇妙な男と話したことを思い出す。災厄を被ることを防いでいたなら、かごめさんはなぜ、そんな死に方をしなくてはならなかったのだろう。

 いや――封じるはずのトウビョウを持ち出した人物は、もう亡くなっていると言う。ならば、その後に――何らか約束があったとして――それがどうなったのかは、わからない。もしかしたら反故になって、かごめさんは協力者を失ったのかもしれなかった。

 そして、彼女は亡くなった。たったひとりで――

 私が愕然としていると、不意に梓がこう呟いた。

「しかし、この場合、憑いているのは家だろうか、血だろうか? 富がもたらされたのは会社か、個人か?」

 私は即座に問い返す。

「どういうこと?」

 梓は私を見返すと、こう続けた。

「憑きものが憑くのは家系、というのは現代でもそうなのかと思ってね。家の在り方も、昔と今では違っている。トウビョウを持ち出した者自身も、名士と呼ばれるからには裕福になったのだろうが、成功した会社は他人が引き継いだというし、それをどう考えたものかと」

 どういうことだろう。私は助けを求めるように隼瀬家の人たちの方を見たが、彼らにもわからないらしく、軽く首を傾げている。

 老婆は戸惑いながらも、こう答えた。

「確かに、世の中の変化は目まぐるしいものでしたから……その変化に憑きものがどう対応したのか、となると、私たちも把握できておりません」

 梓は老婆に向かって頷くと、あらためて私の方に視線を戻した。

「少なくとも骨董屋敷に残された物には、家主を失った今も、まだトウビョウが憑いているのだろう。鹿子――君の家に現れたのはそれだ。憑きものは、普通は目に見えないものだからな。どの品かは知らないが、持ち出された物に憑いていたに違いない。それが君の家に憑いて、そして鷹の根付がそれを見つけた」

 壁の中を這うもの――その正体が、蛇の憑きもの。秘密箱から放たれた後、鷹の根付があかとき堂から私の家へ飛んだのは、そこにトウビョウがいることに気づいていたからか。

 私がそのときのことを思い返していると、梓はこう続けた。

「大元の人物に憑いていたトウビョウが、どうなったかについても気にはなるが……まずはその骨董屋敷だな。身寄りのない者の遺品は、そのうち――」

 梓の言葉に私は、はっとする。

「国庫に入る?」

 そして、その遺品にトウビョウが憑いているとすれば――それは、国にも憑くのだろうか。

 突拍子もない話で、どうにも現実的には思われない。しかし、もしも本当に憑いたとしたなら。それは国に富をもたらすかもしれないが、やがては養え切れなくなって――

 老婆はその指摘に困惑したように、こう話し始める。

「そう簡単に、国が穢れた財産を受け入れるとは思いませんが……どちらにせよ、そのトウビョウはそこに棲み続けるか、あるいはどこかへ逃げて、新たな居場所を見つけるかもしれません。ですから、そうなる前に、始末をつけねばならないと思っております」

 私は思わず、こう問いかけた。

「それはつまり、かごめさんの家に行くということですか?」

 老婆が頷くのを見て、私はさらにこう尋ねた。

「私もついて行って、いいでしょうか」

 その言葉に、梓はほんの少し顔をしかめた。しかし、何かを意見することはない。

 老婆は私の目をじっと見ると、しばらくしてから口を開いた。

「わかりました。では、うちからはまず伊吹に行ってもらいましょう。分かたれたトウビョウが、どれほどの力を持っているのかわかりません。しかし、相手の力を見極めるくらいでしたら、この子にもできるでしょう」

 そして、老婆は私の目の前に、鷹の根付を差し出した。

「こちらの鷹の根付は、一宮さんに。トウビョウを滅するための根付です。少なくとも、あなたの守りにはなってくれるでしょう」

 私はそれを受け取ることをためらった。これは彼女の父親の作った物で――しかし、それを託してくれるからには、彼女もそのトウビョウに対して並々ならぬ思いがあるのだろう。その思いを汲んで、私はそれに手を伸ばす。

「必ず、お返しすると約束します」

 そう言って、私は鷹の根付を受け取った。

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