可愛いお雛様 ―歪―

綿菓子

第1話可愛いお雛様ー歪ー

あるところに、仲の良い姉弟がおりました。

その姉弟は、お母さんが産まれる前からある近所のお人形屋さんに、ずっと行きたいと思っていました。

そんな中、姉が学校を卒業し、お母さんが、「これで好きな物を買いなさい。」と、お金をくれました。

姉弟はすぐにお人形屋さんに向かいました。

お人形屋さんの中に入ると、中にはドレスを着た人形や、着物を着た人形、スーツを着た人形など、様々な人形がありました。

そんな中、姉弟の目に止まったのは、ある雛人形達でした。

姉弟は、とてもその人形が欲しいと思いましたが、もうひな祭りは過ぎています。

それに、自分で買うのはなぁ...とも思いました。

「でもこのお洋服、とっても素敵なんだよなぁ。」

「じゃあ着てみる?」

姉弟は、誰が言ったのかと周りを見渡しますが、誰もいません。

「こっちこっち!」

耳を傾けてみると、雛人形達の方から聞こえます。

姉弟は不思議に思いながらも雛人形達を見てみると、雛人形達が笑っていました。

姉弟はびっくりしましたが、雛人形達は続けます。

「このお洋服、来てみない?」

姉が答える前に、弟が「うん!」と食い気味に答えます。

すると雛人形達はにっこりして、雛人形とお内裏様が着ていた服を姉弟に渡しました。

弟はとても喜び、姉は不思議に思いながらもその服を着ました。

すると今度は雛人形達が、「貴方たちの服を着てもいい?」と聞いてきました。

姉弟は少し考えた後、「自分達は着せてもらっているのだからいいよ!」と答えました。

すると雛人形とお内裏様はとても喜んで、その服を着ました。

その後、雛人形とお内裏様は、2人に「バイバイ!」と言って店を出ていってしまいました。

2人は驚いて止めようとしましたが、声が出ません。

いや、声だけではなく、体も動かなくなってしまいました。

2人は待って!と心の中で叫びましたが、それは届かず、ずっと店に縛り付けられていたのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

可愛いお雛様 ―歪― 綿菓子 @cottonapple_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ