悪役令嬢の裏の顔は大陸一の怪盗でした
ちーずけーき
悪役令嬢の裏の顔は大陸一の怪盗でした
―この世界は財宝であり溢れている。
分からなければ一度周りをよく見ればいい。
私の前で起こっていることを。
「シルディア・リザス・バルギエル、貴様と婚約破棄する!お前のような最低な女と婚約するのはもうこりごりだ。虫唾が走る、その代わりこのアリエナと婚約破棄する。」
この言葉でパーティー会場は一瞬にして静かになった。
そして私の婚約破棄を宣言した青髪の青年とその青年の横に居るアリエナと言うピンクの髪の少女がこちらを見て嘲笑っている。
が、そんなことはどうでもいい。
もう夜の8時だ。
丁度会場に置いといたアレに書いた約束の時間だ。
もうこの重いドレスを着なくていいのか。
シルディアは顔色一つ変えずにバッとドレスを脱いだ。
そのドレスの下に隠れていたのは紳士用の大きなシルクハットにまるで吸血鬼の様なマントに金色のチェーンがじゃらじゃらと下で鳴っている。
シルクハットの下には銀髪の膝まで伸びた長い癖一つ無い美しい髪が揺れていた。
目元が隠れるような仮面をつけておりその下から真っ青の瞳が冷度を放っている。
赤と黒の色彩でできた衣装を見た瞬間に会場がまたざわついた。
「あれって...どんなものでも盗むと言われる怪盗シルバー!?」
「早く警備隊を呼ぶんだ!」
「宝を盗ませるな!」
「仮面を付けていても凄い綺麗...」
「怪盗シルバー様って噂よりも凛々しいわ...」
シルディアを男と勘違いした一部の令嬢からは黄色い悲鳴が聞こえる。
まったく...
この余りにも整いすぎた顔が目立つから仮面を付けているのに...
これじゃ無意味だな。
まあそれよりも宝だ、今回の宝は...
『妖精の守護石』で決定だな。
シルディアは腹黒い笑みを浮かべてパーティー会場の真ん中にある結界で守られている守護石を見た。
一瞬にしてシルディアは守護石を結界から出し窓ガラスを割り言った。
「『妖精の守護石』は貰うよ、また会おうね。無知蒙昧なる人間たちよ。」
そう言いながらシルディアは瞬きする間に消えてしまった。
ただ残された人間たちは苦笑いをするだけ。
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