リプレイ43 我、偽りの火神に嘲笑を向けん(語り部:LUNA)
なるほど。ヤマンソ、ね。
今更ながら、そんなのもあったよねって思い出したよ。
桁違いの火神が越次元の果てに迫るこの状況。
誰しも、これがVRとは分かっていても、恐ろしいでしょうね。
「る、
テンパった
その呼び方、いいね。
ねーちゃん、か。ニヤニヤが押さえきれない。
と、喜ぶのは後にしよう。
後で思う存分、このコトでいじり倒してやる。
さーて。
日輪のような光熱を纏いながら、奴が刻一刻と現れようとしている。
数秒後には私達パーティ全員ーーどころか、
それに、完全に奴の全容を見てしまえば、精神ダメージが来るだろう。
やっぱり、私達は元より、
そこらの神話生物より一段階格上のハイドラで10面ダイスものだったらしいから……旧支配者より格落ち気味なヤマンソもそんなものかな?
で、そんな事になる前に、手を打たなきゃね。
このヤマンソ、能力だけならクトゥグアと遜色無いほどの危険だ。
「カモン、ニャルラトテップ!」
私のコールに応じて、長い黒髪をたなびかせた儚げな少女がいちいち現世に受肉して、私の要望を待つので。
「あいつ、やっつけて」
私は、遠慮無く頼んだ。
【何ゆえ我が】
「貴方は“ニャルラトテップ”だよね?」
【便宜上のシステム名は】
「千の貌を持つ外なる神なら、運営AIもその一つでしょ」
【屁理屈だな】
「ン=カイの森、また燃やされるかもよ?」
【それはヤマンソでは無く、我が宿敵であるクトゥグアなのだが】
「あー! ほら“我が宿敵”って言った! 貴方はニャルラトテップ! かの火神とは宿命の敵同士!」
はぁ……。と、黒髪ロングのお人形さんみたいな美少女が、上から目線の溜め息をこれみよがしに吐いた。
恥も外聞も知るか。
勝てば官軍。
善く戦う物は、勝ち易きに勝つ者也。
で、まあ。
何だかんだ、黒髪ロングの美少女は、その儚い姿を見る影も無く蠢かせ、蠢動し。
光沢のなく黒く巨大な舌のような、筋肉質にして軟体の巨姿に膨張して、夜闇に吼えた。
そしてまあ、あっさりと。
ペロリと、出てきたばかりのヤマンソを、胴体の中途半端な部分にあった口腔に酷似した器官でパックンチョしてしまったよ。
やったね。
10面ダイスの精神ダメージを免れたよ!
でも引き換えに、
【外なる神ニャルラトテップの本性を目の当たりにした諸君ら全員、100面ダイス×1の精神ダメージだ】
私ら、無敵のクトゥルフ探索者様だぜ!
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