第2話 裏世界と入り口2
図書館であの記事を見つけた次の日、
「まぁ、こんなもんでいいか。よし、一時間後に出発しようかな......」
冷坂は首からかけるバッグの中に財布やハンカチなどの最低限必要なものを入れ、スマホを開きながら出発時間までベットの上に寝転がった。
プルルルル............プルルルル.............
「ん?怜雄からの電話だ。急にどうしたんだろ?」
SNSをゆったり寝転がりながら確認していると、急にスマホが震えだし「
「おーい、冷坂。もう、家から出たか?」
「いや、まだ出てないけど?なんか、あったの?」
「いや、この後かなりの豪雨が降ってくるって天気予報でやってるから冷坂が家から出る前に教えようと思ってな」
冷坂はスマホに入っている天気予報のアプリを開くと、さっきまでは晴れマークだった時間帯は、雨と雷のマークが組み合わさったものに変化していた。このまま、外に出ていたら冷坂は土砂降りになっていただろう。
「わっ、マジか。ありがと、怜雄」
「おう、お前が家を出る前で良かったよ」
怜雄に感謝を伝えて電話を切ると、冷坂は心の中でこの天気ならフェリーもでないなと思い、バックを片づける。
冷坂はバックを片づけた後にスマホのカレンダーアプリを開き、明日以降の予定を確認し始める。
「え、マジかよ。一か月後まで開いてないじゃん。てことは、いけるとしても一ヶ月後!?」
カレンダーにはぎっしりと予定が詰まっており、その六割をバイト、三割を学校行事が占めていた。そのことに冷坂はかなり驚き、そして一ヶ月後までお預けという真実に落ち込んでいた。
「はぁ.........。しかたない、あのサイトで情報を漁ってみるか」
落ち込みながらも窓際に設置してある椅子に腰を掛け、机の上に置いているパソコンを起動する。フォーという音を立てながらパソコンが起動していき、少しするとロゴが浮かび上がり、パソコンが立ち上がった。
冷坂はマウスを握るとウェブサイトを開き、お気に入り欄にある「
「今日はどんな噂があるのかな~」
冷坂が開いたサイトはオカルト好きの中のかなりマイナーの人だけが知っている、そういう系の噂が集まるサイトだ。冷坂はその中でも神隠し系の噂が集まるグループに飛んだ。
「ん〜、これは前に読んだしなぁ。新しいやつないかな?」
マウスのホイールを回しながらサイトのページを上から下にかけてゆっくり移動していき新しい記事を探していると、ある一つの記事が目に留まった。その記事はつい最近に投稿されており、他の神隠しとは違い本人が体験した話だった。
「本人が体験した話か、珍しいな」
冷坂はその記事にあるURLをクリックし、記事の本文があるページに飛んだ。
記事の内容はある夕方の日に大学受験をまじかにした高校生が、地元にある古い神社に合格祈願したときに起こった話だった。神隠しにあった当事者(記事にはH氏と書かれている)は合格祈願のためその神社を訪れた。H氏が鳥居を一礼してくぐった時に、先ほどまで目の前に人はいなかったのに顔を上げると猫の耳がついた人が立っており、H氏が誰だろうかと不思議に思っていると不意に視界がまばゆい光でいっぱいになり、気づくと森の中にいたという。H氏が急に周りの風景が変わったことに混乱していると周りの森の木々がガサガサと動き、先ほど見た猫の耳の人とは違い、今度は狐の耳がついた男性が出てきた。H氏はその人が狐の耳がついた人だとは認識できたが、顔や服装までは認識できず、その人はH氏に近づくと「ここは、人間が来ていい場所ではない」といいH氏の目を手で覆った。次の瞬間にはH氏は元居た神社に戻ってきていたという内容だった。
「猫の耳に、狐の耳......。妖怪か?」
冷坂は記事を読み終わり記事に出てきた猫の耳と狐の耳がついた人は同じ妖怪だが考えが違うのだと考察した。猫の耳がついた人は神隠しを行い、H氏を攫い。狐の耳のついた人はH氏を元居た場所に戻した。この二人の行いは対照的で狐の耳がついた人はいい人だということが理解できた。
冷坂はこの記事を読み、もしかすると自分のあの仮説は本当かもしれないと強く考え込んだ。
表世界の人と裏世界の妖 シロエリ @siroeri
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