第8話 暗殺計画中止

「叔父さん…やはり、パウラ様は僕達の話を聞いていたのでしょうか?」


「いや、そんなはずはない。この前聞かれてたらなら気配でわかるだろう?我々の特徴だ」

ヴァンパイアは人の気配がわかる。動物と同じで耳も良いため、人間が聞き取れない音も聞こえてしまう。


「しかし…お嬢様の言う事は誰も信じなかったと?確かにまだ子供だからな。旦那様も流石に嘘だと思ったんだろう。パウラ様は人間嫌いで有名だから、偶然にも我々をヴァンパイアに仕立て上げて、お前を執事から外させようとしたのではないか?」


「偶然ですか…」

確かに…。そう思えば話は楽だが、あの時彼女は


『熱いでしょ?』

と言った。

我慢してるとも。

何故わかる?僕の演技は完璧だった。バレるわけないのに。見透かされた。


僕はあの子が何者か分からない。

…。


「明日旦那様にお暇をもらい、お嬢様のいた孤児院などを視察に行ってきます。何かわかるかも」


「わかった。ひとまず暗殺は中止で、あの子のことを調べよう。私も何か知っている者がいないか探ろう」

と叔父と密談して自分の部屋に戻る僕。

まぁ…正直…暗殺なんてこと僕はしたくなかったからちょうど良いのかも。ヴァンパイアの子孫だけど全く血に飢えてるわけじゃない。普通の食事だってできる。


力だって弱まっているし普通の人間より少し違うくらいだ。人殺ししてまで血を飲みたい衝動はない。新月の日以外注意する事を今まで心掛けてきた。トラブルは避けたい。普通に暮らしたい。そう思って横になり僕を睨んだアメジストのような紫の瞳を思い出した。


「……あの瞳は…綺麗だったなぁ…」

と呟き眠る。

僕はこの時まだ子供だし恋を知らなかった。

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