第11話




「ようやく出来たぞー!!」


「おめでとうございます」


 この数日、魔力変換でDPを貯めながらずっと作っていたダンジョン下層部がようやく完成した。


「それで、どのようなものになったのですか?」


「おう、これを見てくれ」


 ミアに聞かれた俺は、下層のホログラムを見せた。


 ダンジョンの仮装は十階層別れており、ゴーレム系とドラゴン系で統一してある。階層の種類も荒野や草原、背の低い矢田などが中心だ。

 本来、この階層は侵入者を入れる気がなく。上層中層から行こうと思えば、隠し扉を見つけた上で十体のゴーレム系の最上位種であるオリハルコンゴーレムや変異種のタイラントゴーレムを倒さなければ通れない。コイツらは手動で出す予定だ。


「これは...確かに素晴らしいですね。シンプルですが、その分とても強力です。細かい解説をお願いしてもいいですか?」


「ああ、勿論だ」


 俺はそう言って説明を始めた。


「まず、十階層ある内の三階層は荒野にしてあり、ゴーレム系のモンスターがいる。木や土などで作られた弱いウッドゴーレムやクレイゴーレムに始まり鉄やミスリルなどの魔法金属で作られたアイアンゴーレムやミスリルゴーレムなど強いゴーレムも多く存在している。あと、強さとは別に餌としてごく僅かに金でできたゴールドゴーレムや銀でできたシルバーゴーレムなどの実力は弱いが利益が高いゴーレムも配置している」


「次に、残りの七階層は草原や山河を中心にして龍種のモンスターを入れてる。本当の龍種では無いワイバーンなどの亜龍種が一番多く、龍種の中では弱い劣龍レッサードラゴンやそれらとは別に数は少ないが、上位種の火龍や水龍の様な属性龍や、毒龍や呪詛龍などの特殊な進化をした龍であったり。最上位種の炎龍や氷龍、その中でも特に強い龍王と呼ばれる個体もいるな。あと、下層部の各階層に二体ほどだが手動召喚した古代龍を管理役として入れるつもりだ。いくらスポーンモンスターでも反応があるなら暴れ回って階層をメチャクチャにしかねないからな。あまり酷いようなら古代龍に討伐してもらうつもりだ」


 ダンジョンの壊れた部分は自動修復だが、多少はDPを消費する。あまりやりたい放題されるとシャレにならん。


「俺が今回作った下層部はこんなものだ、何か意見はあるか?」


 説明を終えた俺はミアにそう聞いた。


「そうですね。階層の設計やモンスターの配置は問題ないと思いますが、宝箱や罠は無いのですか?」


「そうだな。宝箱や罠は無い。そもそも、下層は大規模な戦いでの使い捨ての駒を置いておく場所で侵入者にここまで突破させる気がない」


 その為に上層中層までで、一つのダンジョンと思わせられるようにしたし下層に行く道も隠したり、仕掛けを施してゴーレムの中でも特に強い種類、しかも手動召喚の個体に守らせたのだから。

 そのことをミアに話すと。


「はあ、突破させる気がないのは分かりましたが、捨て駒とは?古代龍を管理役として召喚する理由は聞きましたが他にも何かあるのですか?」


「ああ、俺は軍隊を育てるつもりだが、一人の兵士を育てるのに人間の軍隊なら数年はかかる。ダンジョンモンスターはそうでもないんだろうが、やっぱり捨て駒として使い潰すのはちょっとな。その分スポーンモンスターは他のダンジョンマスターも戦略として使ってるみたいだし、最低限の命令は聞くんだから敵に突っ込ませるにはちょうど良いだろ。龍種は強いし」


 俺がそう言うとミアは頭痛を堪えるように頭に手をやり、呆れたようにため息を出した。


「はぁ〜、セイヤ様の言っていることはわかりますがこれはやり過ぎです。これに匹敵するダンジョンなんて最低でも千年以上存在しているダンジョンや神が特に目をかけている場所ぐらいですよ。しかもここに貴方様が教育を施した軍隊も追加されるのでしょう?もう頭がおかしくなりそうですよ」


 随分と呆れられたようだが、俺は作りたいダンジョンを全力で作るのみだからな。流石にこれだけの規模だとDPが足りないが、既に数日分は溜まってるし、十日ぐらい回復した端から魔力を変換し続ければ作れるだろう。いや、十日は多いか?とりあえず階層だけなら今日中に作れるしな。


「まあ、確かにやり過ぎたとは自分でも思うが、ダンジョンコアからもらった知識では上位の龍種を餌にするようなモンスターもいるようだし、上位のダンジョンマスターなら持っている奴がいそうだから、そこまでやり過ぎてはいないんじゃないか?知能面は獣と変わらないし」


 俺がそれっぽい言い訳をならば立てると。


「まあいいです。確かにモンスターの中にはそう言ったとてつもない強さを持ったものもいますし、他のダンジョンマスターの中にもそのモンスターを保有している者が一定数いますし人間の中にはそのモンスターを倒せるような英雄もいるので、常識はずれではありませんがそこまでぶっ飛んでいるわけではありません」


 そうミアが言った。

 いやマジか、そうゆう存在一定数いるのね。それを考えたらこれから軍隊を育成するにあたって、戦術や戦略は勿論だが、個々の強さも最低限単独で通常種の龍を、できれば火龍などの属性龍を屠れるようにしておきたいな。

 あと、これから先もっとミアにストレスかけそうだし、ダンジョンコアで色々甘いもの出しておこう。ご機嫌取りせねば。


「なあ、ミアが俺のことを非常識というのはわかったから。ようやく軍隊育成の為の階層作りに取り掛かれるんだし、落ち着いて手伝ってくれよ。まあ、下層を作るDPや深層用のDPをたを貯める為に少し時間をおく必要があるけど」


「わかりました。私はそもそもリン様にセイヤ様の補佐をするように命じられていましたからね。たとえ仕える主人が非常識でも道を外れた行いや、自滅同然の行為をするわけでもない限りは従います。まあ、多少小言を言うかもしれませんがそれは諦めてください」


「ハハ、ダンジョンコアから知識をある程度得たとは言え、細かい知識やこの世界のことはミアに聞かないとわからないからな。これから先もミアに頼らせてもらうよ」


 俺は頭を下げながら言った。ついでに拝で祈りでも捧げようかな?ミア経由でリンにも届きそうだし。


「ええ、わかりました。それで?深層は今から作るのですか?」


「あー、流石に下層作成用にもう数日はDPためないとだし。実際に深層作るのは一ヶ月後くらいからかと...」


「それでは、それまでセイヤ様自身の戦闘能力向上とその非常識を少しでもマシにする為、一般常識を頭に叩き込んであげましょう」


 ミアはそう言って満面の笑みを浮かべた。

 おかしいな?いきなり話し変わってね?しかもとっても可愛い笑顔なのにすごく怖い。これは覚悟しとかないとヤバそうだな...






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戦闘シーンとかバチバチしたり、新しいキャラクターが出るのはもうちょっと待ってね。ほのぼのもね( ○ω○ )


話が進まねぇ(´・ω・`)


あ、戦力はインフレさせる予定なのでよろ

ヤベェのとヤベェのがぶつかるって最高よな


追加、劣龍レッサードラゴンは龍種の中では子供なので弱いです。それとは別に赤子として幼龍ベビードラゴンがいます。

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