第3話
リンに神殿の様な場所から光に包まれて飛ばされた俺は今正方形の何も無い部屋に立っていた。
「何処やここ?」
いや待て、リンが飛ばしたのだからここはダンジョンを作るための部屋、もしくはダンジョンマスター専用の部屋とかそんな感じだろう。
俺はそう思いながら何か置いて無いかと周りを見た。
「おわっ」
すると俺の真後ろにバレーボールぐらいの大きさの淡く光る玉が丁度頭ぐらいの高さに浮いていた。
「何だこれ?所謂ダンジョンコア的なやつか?」
前世俺が嗜んでいた
「とりあえず触ってみるか」
そう決めた俺は、どうやって浮いているのか分からない光る玉に手で触れた。
「うおっ!」
手で触れた瞬間玉は強い光を放った。
「目がー!!目がー!!」
それを直視した俺はのたうち回ることこそなかったが両目を手で押さえてどこぞの大佐よろしく情けなく叫んでしまった。
「大丈夫ですか?」
誰もいないはずの部屋で話しかけられた俺は驚いたが、目がまだ見えないので元に戻るのを待ってから目を開けた。
「どちら様で?」
目を開けた俺に映り込んだのはとんでも無い美女だった。
年は二十ほど、綺麗な黒色の長髪に切れ長の黒目で日本人っぽい顔立ちをしている。体はモデルが裸足で逃げ出すほどメリハリがついていて、その体を包むのは純白のワンピースとその上に羽織った同色のカーディガンだった。
そんな美女を前に身惚れていると、相手は戸惑った様な表情をして話しかけて来た。
「私はリン様の命により貴方の補佐をすることになったミアと言います。あの、先程からぼーっとされていますが大丈夫ですか?」
「あっああ、大丈夫だ」
何とか正気を取り戻した俺は、今彼女が喋った内容を咀嚼した。
なるほど、彼女がリンが寄越してくれると言った眷属の子か。頼りになりそうだし美女だし嬉しいね。
心の中で狂喜乱舞しながらもリンに感謝の祈りを捧げた俺は、鼻の下が伸びないように注意して彼女に話しかけた
「えーと、ミアさん?」
「いえ、貴方はこれから私が使えることになる主です。私のことはミアと呼び捨ててください」
おおう、いきなり呼び捨てか。
俺は女性経験がないわけでは無いが、こんな美女相手にいきなり呼び捨てはきついんだが仕方ない。
「それじゃあミ、ミア」
「はい」
「リンに聞いてるかもしれないが改めて俺の名前は佐藤星矢だ」
「はい、佐藤星矢様」
いや待てよ?これからダンジョンマスターになるんだし名前も変えるか。
「あー、いきなりで悪いんだがこれからはセイヤと呼んでくれ」
「それは良いですが何故ですか?」
「心機一転、文字通り生まれ変わってダンジョンマスターを始めるからな。親からもらった名前を変える気はないが、前の世界に縛られるのもアレだから少し変えようと思ってな」
「わかりました。では、これからはセイヤ様とお呼びします」
「よろしく」
さて、一旦自己紹介が済んだわけだが。
「ミアはリンに俺のことを聞いているのか?」
「はい、リン様には異世界で生きていたと聞いています。そして、私はセイヤ様がダンジョンマスターとしてやっていける様に知識面などで補助する様にと」
おお、リンは予め言っておいてくれたのかありがたいな。
「あと、リン様にはセイヤ様の言ったことに着いていける様にと言うのと、そういうことも求められるかもしれないからとセイヤ様の記憶も大体を共有して頂きました」
「今何と?」
とてもすんごいことを言われた気がする。
「ですから、リン様にセイヤ様の記憶を共有して頂いたのです。これでセイヤ様が前世の事をつい口に出してしまっても大丈夫です」
「そ、そうか。じゃあ、俺が好きなアニメとかよく読んでいた兵法書なんかの内容も知っているのか?」
俺は少し動揺しつつ尋ねた。
「はい。それと、申し訳ないとは思ったのですが、不可抗力でパソコンの中身なども知ることになってしまいまして...その...」
「ぐはぁ!!」
顔を逸らして頬を赤らめたミアがそう言った瞬間俺は膝から崩れ落ちそうになる程のダメージを受けた。
嘘だろ!?俺の趣味のラノベやアニメだけならともかく、秘蔵のアレやコレまで見られたというのか!!!
そこまで思考が行き着いた俺は自分の頭を抱えながら悶えまくった。
「あっあの、セイヤ様の事はリン様にも聞いていてよく知っていますから!その、ちょっとSっけが強いみたいですけど、私しっかり受け止めて見せますから!!」
ミアはその豊満な胸に片手を置きながら覚悟を決めた顔でそう言った。
「うおおぉぉぉぉぉ!!!!」
ヤメロォ!!そんな覚悟を決めた顔をするな!!本人は慰めている気かもしれないがそれは寧ろ無慈悲な追撃、トドメを刺す行為だ!!!
ミアの無慈悲な一撃を受けた俺は床に倒れ、そのまま身悶え続けていたが、精神が限界に達したのか意識を手放した。
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しっかりおふざけも入れていきましょね。 (´・ω・`)
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