第2話

 翌日になると、国王様から知らせが来た。


 正直、このお城には王女四人と、国王様と、メイドが三人しかいない。

 そして、俺とコヤンイは玉に来るくらいだった。

 だから、いつでも新人を募集している。


「氷属性の短剣使いのレッジロは、兵士とする。


風属性のレイピア使いのインテルメーディオは、騎士に所属。


ピザが好きで、花属性の長剣使いのピザンテは、勇者に配属させる」


 なぜ、ピザまで言う必要ある?

 そういえば、国王様は大のピザが好きで、いろいろな種類のピザの味を楽しんでいる。

 食卓には、いつもピザが並んでいる。


 そして、ピザ好きの友達を集めて、ピザパーティーを開くこともあった。


 そうか、見知らぬ他人であっても、国王様はピザが好きであれば、心を簡単に開いてしまうということか。


 三人は、国王様の護衛になったということ、か。

 だけど、勇者、騎士、兵士と分けても、まだ人数的に足りないのでは?


 いないよりは、いいかもしれない。

 ここは、言葉にしないで、俺の中だけで思っておこう。


 お城を出て、俺、アズキ、三毛猫ボール《正確に言うと、宙を浮いている》と歩いていると、三毛猫刈りのいつもの三人組が現れた。 


 確か、太っている関西弁のおじさんが、フトシスタ。


 白人で、眼鏡をかけている、やせ細った男性が、敬語の男性がカナシスタ。


「目の前に、三毛猫がいますわ」


 ミッドシスタという黒人の筋肉質な男性が、お嬢様口調で話す。

 だけど、俺はここで屈しない。


「三毛猫だろうと、何だろうと知らないけど、俺の大切な存在を奪いにくるなら、容赦しないから」


 俺は、威圧した。


 一瞬、三人が怯えているように見えたけど、俺に一斉に襲いかかってきた。


 だけど、俺は弱くない。

 こんな三人なんて、俺を相手にすると、まだ人数が足りないっていうくらいだ。


「フィウメ プロフォウンド」


 こうして、呪文を唱えることで、どこからか水があふれて、三毛猫刈りの三人は溺れた。


「これに懲りたら、観念するんだ。

何度、立ち向かおうとしても、何回アズキを傷つけようとしても、不毛なことでしかないって。


そして、今後一切・・・・」


 なるべく低い声で、威圧するように「三毛猫を誘拐しようとか、滅ぼそうとか考えるなら、どうなるかわかっているか?」


 三人は溺れていたし、関西弁のフトシスタが「わかったから、解放してくれへんか」と懇願するばかりだった。


「君は同じことを繰り返す。

きっと、黒幕がいるからだと思う・・・。


黒幕の名前を教えてくれたら、解放してあげなくもない。

ただ、国王様に身柄を拘束されることを条件にだけど」


「黒幕の名前は・・・・」

 カナシスタが、黒幕の名前を告げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る