10月3日 ピステーヌ

 今日は体調も情緒も駄目になっていた。

 だから今日も、特に日記のネタは無い。

 全く人間はなんて面倒で不完全なのだろう。攻殻機動隊のような義体化はいつになったら実現するのか。私が生きている間に、車は空を飛ぶだろうか。宇宙エレベーターはできるだろうか。

 うん、思考もあちこちへ飛んでしまっていけない。


 夕飯はどうにか、ミールキットを使った。

 比較的楽なメニューで助かったが、特筆すべきこともない感じの、豚と野菜の重ね蒸しにニラだれをかけたものである。見た目通りの、安心感のある味である。


 駄目なときにはやはり、美味しくて甘いものが良い。

 東京で買ってきた「ピステーヌ」という菓子を開けた。『PISTA & TOKYO』という、その名の通りに東京にしかないピスタチオ菓子専門店である。オープン情報はチェックしていたが、食べるのは今回が初めて。

 何度か日記に書いているとは思うが、私はピスタチオに目がない。それ故に、ここ数年のピスタチオブームには、「やっと時代が追いついてきた」という気持ちと、「半端なピスタチオ味を出してくるんじゃあない!」という気持ちなど、千々に乱れる有り様。

 さて、今回の「ピステーヌ」は果たして。

 見た目は極めてティグレに近い。ティグレというのは、チョコチップを混ぜこんだフィナンシェ生地を真ん中が凹む形の型に入れて焼き、その凹みにチョコレートガナッシュを流し込んだフランス菓子である。生地のまだら模様が虎の毛皮のように見える事からフランス語で「虎」という意味の「ティグレ」と名付けられたという。

「ピステーヌ」は丸いピスタチオケーキ生地の真ん中に、ピスタチオチョコレートが流し込まれている。ころりと可愛らしく、これぞピスタチオグリーンという色合い。一口齧ると、濃厚なピスタチオの風味が広がる。高温短時間で焼いたケーキ生地は表面はカリッと仕上がり、中はしっとり。中心のピスタチオチョコレートはなめらかで、ほどよい甘さのケーキをまったりと包み込む。ピスタチオ狂いの私にも満足できる菓子だった。

 今回の「ピステーヌ」は秋からの季節限定商品なのだという。確かに、暖かい時期に食べるにはチョコレートの保存に不安があるし、まったりとした味わいがクドくなってしまうだろう。今がちょうど良い。


 折角過ごしやすくなってきたので、明日はどうにか体が動いてほしいところである。

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