9月29日 新きんにくにくバーガー、白バラ牛乳ソフト、抹茶生クリームラテ

 久方ぶりの快晴。

 陽射しは暖かく、秋めいた空気は爽やかである。なんて過ごしやすい日和。


 昨日の天気予報でもよく晴れるようだったので、出かける予定を立てていたのだが。

 今朝の私は完全に貧血状態だった。鉄分が入ったドリンク剤を飲んだものの、午前中から動くのは無理そうである。

 食欲は一応あったので、何か血肉になるものを、と思い、モスバーガーで「新きんにくにくバーガー」を夫に買ってきてもらった。毎月29日(にくの日)限定で販売されるもので、ちょうど良かった。この頭が悪い名前に違わず、中身もなかなか頭が悪い。バンズの間にはチキンナゲット・ソイパティ・チキンパティ(という名のチキンカツ)の三種の肉に、二枚のチーズ、そしてオーロラソースとミートソース。千切りキャベツとグリーンリーフも入ってはいるが、タンパク質祭である。これが結構ちゃんと美味しいので、笑ってしまった。

 ふっくらとしたナゲット、みっしりとしたソイパティ、さっくりとした胸肉のチキンカツと、三種の肉はそれぞれ違った食感でクドさはない。それを二種のソースととろけるチーズがコクと風味を重ねつつ繋げていく。馬鹿みたいな高さというか暑さになっているのだが、きちんと統一感のある味になっているのだ。恐れ入った。

 食べごたえはしっかりとあるので、単品注文で正解だった。満足感がすごい。


 食後はなんとか気力も復活し、午後からやはり出かけることにした。

 鳥取県にある中国地方最高峰の名峰、大山だいせん。その近くは通るものの、これまで夫婦で行ったことは無かった。折角なので、山陰にいるうちに見に行くかということになったのだった。

 とはいえ、二人とも登山の趣味は無いので、車で行けるところまでである。ちょうど良いところに、白バラ牛乳で有名な『大山乳業』の直営施設、「まきばみるくの里」があった。標高500メートルほどのところにあり、大変眺めが良い。陽射しを遮るもののない野原は眩しいほどの緑で、放牧された牛の姿も見えた。雄大な大山を背に舐める、白バラ牛乳のソフトクリームは格別である。濃厚なミルク感がありつつもあっさりとして、溶けないうちにぺろりと食べてしまうのにちょうど良い。

 眺望は圧倒的だし十分に美味しいのだが、個人的な味の好みでは、やはり木次に軍配を上げる。商売の規模が違うとはいえ、木次の牛乳が島根県内に留まっているのは実に勿体無い。


 幼い頃の三年ほど、鳥取市内に住んでいた話はどこかで書いた気がする。していなかったら申し訳ない。砂丘のある鳥取市から大山のある大山町は車で一時間ほどの距離があり、当時は大山になんとなく親しみがあったが訪れた記憶は無かったりする。

 出雲富士とも呼ばれる大山だが、近くから見上げるその姿は富士山とは雰囲気が違う。もっと朴訥として、もっとおおらかな顔に見える。今が夏の終わりだからかもしれないが。


 ついでに、大山町の日本海側、町家を改装して今年オープンしたカフェにも訪れてみた。

 その名は『カジイ珈琲コーヒー』。大山乳業のミルクや生クリームを使ったラテやティラミスの店である。この「生クリームラテ」というのが、大変気になっていたのだ。

 注文したのは、「抹茶生クリームラテ」。先ほど見たばかりの野原を思い出すような美しい緑である。よくかき混ぜて飲んでみると、実に濃厚。なるほど、ホイップクリームを乗せたラテなどは見かけるが、生クリームで作るラテというのはここまでコク深くなるものか。しかし甘さはあくまで上品で、抹茶の豊かな風味をしっかりと味わうことができる。お茶は、こちらも大山にある『井上青輝園』のものを使っているという。店内にはその冷たいグリーンティーのサービスもあった。夫の注文した「キャラメル生クリームラテ」はかなり甘かったので、併せて飲むのにも良い。

 なかなか珍しいものを飲んだ。少し罪深さを感じる美味しさなのも面白い。


 日吉津ひえづの方も少しぐるりとして、十五夜の大きな満月を見ながら島根に戻ってきた。遮るものが本当に無いので、山陰の景色が良いのは確かである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る