4月6日 パン粉のフレンチトースト
そろそろ本腰を入れて探さなくてはならない。「母の日」の贈り物を。
東京にいた頃には百貨店巡りをして、「母の日」向けイベントショップなども含めて色々検討できたのだが、島根ではそうはいかない。何せ県内唯一の百貨店「一畑百貨店」はあまりにもショボいのだ。
薄暗い照明、狭い通路、ファッションフロアは特に目を引くブランドもなく雑多に連なり、閉店して空いたままのスペースがいくつもある。レストランは蕎麦屋が一軒だけ、催事場は狭くイベントも食指の動かないものばかり。極めつけは地下の食品フロアである。生菓子を売る店舗は皆無。惣菜・弁当も仕出し系の店が一つあるだけ。
あまりにも、あまりにもやる気がない。松江駅直結という立地に甘えているにしてもこれは酷いが、その理由も想像がつく。この百貨店業は、片手間なのだ。
この百貨店を経営する一畑グループは、島根県内でかなり幅を利かせている存在である。メイン事業は交通・観光系で、そこから不動産や自動車関係、百貨店まで手を広げたようである。よくある話だが、百貨店がバタバタと倒れていく時代に、よくもまぁこの質で生き残っているものだといっそ感心してしまう。
こんな有様なので、今年も昨年同様インターネットに頼ることになるだろう。折角なので地のものを、というのは父の日にとっておきたい。だいたいが酒だの魚だのと渋めなのだ。母の日はもう少し華やかなのが良い。まだ何の案も浮かんでいないが。ううむ悩ましい。
今日は一人ブランチに、パン粉のフレンチトーストを作った。
また卵を使ってしまった。どうか許してほしい。美味しいので。
パン粉のフレンチトーストは、時間的にも材料的にもコストパフォーマンスが良く、しばしばつくっている。食パンの賞味期限は短いし、フレンチトーストはなるべくじっくり卵液を染み込ませたい。その点、パン粉は冷凍できるし使うときの解凍も不要、漬け込み時間もゼロで良いのだ。
卵と牛乳、それから蜂蜜で卵液を作るのもポイントである。砂糖でなく蜂蜜にすることで生地がしっとりとまとまるのだ。私は味にクセのないアカシア蜂蜜を愛用している。この卵液がさらりとするまで混ぜ、しっかりとパン粉に馴染ませれば、あとはバターを溶かしたフライパンで両面を焼くだけである。
玉子焼き器で焼くときっちり四角くなるが、一人分なら柔らかいうちに軽く成形するだけでもなんとかなる。セルクルに流し込んで厚めに仕上げても良い。
普通のフレンチトーストならメープルシロップをかけることが多いと思うが、このレシピの場合はハチミツの方が味のまとまりが良くなる。個人的には熱いうちにバターを塗るだけで食べるのが好きである。いや正確には、「帝国ホテルマーガリン」を塗る。これも昨日書いた胡椒と同じく、一度使うと元に戻れないタイプのマーガリンなのだがそれはまた別の機会に。
こんがりと焼けた表面は香ばしくバターが香り、じっくり火を通した中心はふっくらと柔らかい。噛めばじゅわっと解けていく食感。蜂蜜の優しい甘さが生地全体に行き渡っていて、そこにマーガリンの塩気が絶妙に合わさってくる。この美味しさはパンではなくパン粉で作らなければ味わえない。
パンを崩して出来たパン粉を再びパンに戻すという、ちょっと歪んだ体験もまた楽しかったりするのだった。
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