7/15(土)#覆面BLSS企画「貴方に食べられたい。」
貴方に食べられたい。
見分けがつかないほどにそっくりな兄弟。
とされている私たちは、見た目だけではなく微笑み方や困ったときの仕草まで似ていると言われてきた。
実際に食べ物の志向から苦手なものまでよく似ていた。
……好きになる男さえも。
目付きの鋭い男だった。相手を傷つける風格に、悪い男だと知っても惹かれてしまった。
そこにあるのが蜘蛛故の甘言だと知っていても、甘く囁かれる言葉に逃れることができなかった。
好きになったのは兄とどちらが先だろうか。その先にあるのが破滅だと知っていても、その光に吸い寄せられる羽虫の様に彼に惹かれていった。
こんなにも彼に惹かれているのに、彼が選んだのは兄だった。
蜘蛛の孕み袋とされた蝶。ゆっくりと大きくなっていく兄の腹に、あの人に選ばれた事を心の奥底で醜く嫉妬した。
ある夏の蒸し暑い夜、あの男にそっくりな子を産み落とした兄は愛しい男に食われた。
産み落とされた子を親代わりとして育てながら、私はその時を待つ。
彼が再び訪れるのを。
彼が極上な蝶の味を忘れられず、兄にそっくりな私を食べてくれるのを。
きっと、蝶に良く似た
あの人に食べられた私は、あの人の最期の雌になるのだ。
【おまけ】
こちらは◯◯バースアンソロジーのメンバーで行った覆面BLSSで自バースしばりとしてバタフライバースを書いてみました!
◯◯バースアンソロジーで書いた『ハッピー・チェーン・トライアングル』のおまけとして、作中に出てきた蝶と蛾の双子が出てきています。とても歪な執着を持つ彼のことが書けてよかったです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます