7/15(土)#覆面BLSS企画「夏とソーダ水」

暑い日差しの中、瓶の上にあるビー玉をカシュンとボトルに押し込む。

嚥下する度に喉仏が動くのを、僕はつい見つめてしまう。

同じように育ってきたのに、彼の方が成長痛も声変わりも早かった。

早瀬、と呼ぶ声に大人の艶が混じる。僕はまだ大人にはなれないと言うのに、彼は僕を置いて身体から大人になってしまう。

唇を濡らし零れ落ちたソーダ水が顎を伝う。それを拭う腕は日に焼けていた。

おなじもので在りたいと願うのに同じでは居られない。

この夏が二度と来ないのとおなじで、一度変わってしまったものは元には戻らない。

押し込めたビー玉が元に戻らないのと同じように。


 【あとがき】

 青さんと及川さんが企画されていらっしゃった#覆面BLSS企画に参加しました。

 青さんに提出したものです。

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