3/25(土)「靴」

君の踵が踏まれた靴が気になる。

何度も磨いているだろうけれど、時の流れは無情で表面が剥げていたり、変色したり。踵も足のサイズが合わなくなったからだろう。

「変えたら?」

「断る。仕事は別の靴履いてるし」

「気になるんだけど」

「お前が次の靴作ったらな」

まだマイスター修行中なんだけど!


【おまけ】

これ補足入れないと伝わりづらい話かも。

靴職人希望の青年が学生の頃に作った未熟な靴を愛用してくれている恋人。下手だしボロボロになったし、足のサイズが少し変わったし、変えて欲しいけど、お前の「職人としてのはじめて作った靴を履く」という約束を律儀におぼえている。

遠距離恋愛で、靴職人希望の青年は普段海外にいるんだけど、まだマイスターになるための修行中で、まだ納得行くものができなくて、むきーってしてる。

でも、合わない靴使われるよりも新しいの買って欲しいんだけど! って靴職人志望としては怒るんだけど、「なら最高作作れよ」って返されてムキー! ってしている。

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