きみに隣にいてほしい。

雨庭未知

第0話 ルビー小説大賞用あらすじ

「きみに隣にいてほしい。」あらすじ

 雨庭未知(あめにわ・みち)


 茜音と理人は、北海道の田舎町出身で、中学の同級生だ。中学時代、母子家庭育ちの茜音に、理人は、優しく接してくれていた。当時からずっと、理人は、茜音に片想いをしている。

 十六歳の頃、茜音は、母の再婚相手から性的虐待を受け、その苦しみから自殺未遂を起こす。その事件が契機となり、茜音は高校を中退し、理人とも音信不通になってしまう。

 十九歳の十二月、茜音は、母を事故で亡くし、その生命保険金を受け取る。その保険金で、理人のいる札幌に引っ越し、再び彼と友達になり、高卒認定試験(高認)を受験したい、という希望を抱く。翌年の三月に札幌に引っ越した茜音は、勇気を出して理人に連絡し、二人は再会する。


 再会後、高認のために、茜音は大学生の理人に頼んで、家庭教師をしてもらうようになる。二人で勉強し始めてから七ヶ月後の現在、試験まであと二週間と迫った。そんな中、深夜まで勉強した茜音は、理人の家に泊めてもらう。その夜、虐待のトラウマによる悪夢でうなされた茜音は、理人に抱きしめられて眠る。

 翌朝、片思いが我慢しきれなくなった理人は、茜音に突然キスしてしまい、茜音は混乱する。


 その翌週、家庭教師最後の授業のために、茜音は理人の家に赴き、理人の七歳上の従兄・俊一と出会う。授業後、理人は茜音を駅まで送る。理人は、俊一には同性のパートナーがいることを告げ、合格祝いの焼肉を約束する。

 

 家庭教師の最後の日、茜音を駅まで送った理人は、実は、茜音に会うのをこれで最後にしようと密かに決心していた。性被害のトラウマを持つ茜音に、突然キスしたことを自己嫌悪して、茜音に会うことをやめようと考えたからだ。

 理人と俊一は、俊一のパートナー・朋彦が、霊媒師を職業としていることについて会話する。また、理人は、俊一から、茜音に告白するよう助言されるが、茜音のトラウマを案じる理人は、「告白できない」「茜音に会うのもやめる」と答える。


 高一の冬、自殺未遂をした茜音の所へ駆けつけ、救急車を呼んだのが理人だった。救急車が来る直前、茜音は継父からの性被害を理人に打ち明け、理人の告発で虐待が明るみに出る。

 しかし、「母が知ったら、母が傷つくと思い、必死に虐待に耐えていたのに、なぜ理人は大人に言ったのか」と、錯乱状態の茜音が電話をかけてきて、理人は混乱する。その後、二人は、三年間、音信不通になる。

 

 高認終了後、理人から連絡が途絶えたことに悩んだ茜音は、理人に会いたいと願う。その過程で、自分が理人を好きだと思う気持ちは、恋であると気づく。偶然、街で再会した俊一から、理人と話すことをお膳立てされた茜音は、理人に会いにいく。茜音は、理人に気持ちを打ち明け、二人は結ばれる。


 高認の結果が届き、茜音は合格していた。商業施設で、朋彦に会った茜音は、朋彦を介して亡き母からのメッセージを受け取る。

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