キングニート

 ニートは目をつむった。

 すると異世界に転移した。ニートは王様になった。

「王様! 髪が乱れております」

 お付きの者にシャッシャッと髪を梳かされる。


「王様! 裾がめくれております」

「王様! ご飯ができました」

 お付きの者はシャッ、シャッとキングニートの世話をした。


「王様!」

「王様!」

 自分がなにもしなくても、お付きの者が全部やってくれる。目をつむって悦にひたった。

(王様はいいなァ)


「まーくん! 後ろ髪がくしゃくしゃじゃない」

「袖がめくれてるよ。この子ったら」

「朝ごはん食べて〜」

 キングニートは目を開けた。

 お母さんがシャッシャッと、ニートの身の回りの世話をしていた。

 転移は幻想だった。

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