【超逸材】清楚路線を目指していた新人女性ダンジョン配信者さん、自身の溢れ出る戦闘能力が隠しきれず、踏破不可能と言われた難関ダンジョンを次々と攻略していってしまう
第25話:四ヶ月に一回しか活動しないたまこし学園の幻の配信者
第25話:四ヶ月に一回しか活動しないたまこし学園の幻の配信者
結局、私たちは天音さんが持ちかけてきたお話の全面的に乗ることになって、テクノロジアとは後ほど正式な契約を交わすことになった。
まだ実感がわかないな……あんな大きな企業から案件をいただけたなんて。でもこれはたまこし学園をもっと人気にするためのチャンスだよね、頑張らないと!
「いやー、想像以上にいい条件だったわ〜。これなら欲しかったブランド物もいっぱい買えるはず〜!!!」
「おい田中、その前にあいつを呼び起こさないといけないじゃないか。その分報酬減るんだろ?」
「……あ、そうだった」
「あ、あの! もしかして、たまこし学園にいるっていうもう1人の配信者の人ですか?」
「うん、そう。とはいえ四ヶ月に一回しか活動しないから、ほぼいないも同然なんだけどね」
「そうなんですか……。あんまり体調がよくないんですかね?」
「いや、遊んでるだけだよ。ただ単に配信サボってるだけ」
「え!? は、配信以上に楽しいことがこの世の中にはあるんですか!?」
は、配信活動ができるのにそれを捨てて他のことして遊ぶだなんて……わ、私には信じられない。よ、世の中にはいろんな人がいるんだなぁ……。
「ミヒロちゃんは配信者としての適性が高すぎるね……。まぁ、そもそもあいつは私たちが頼み込んで配信者になってもらったから、私たちも強く配信しろって言えなかったんだよ」
「そうなんだよねぇ、一応カズサより人呼んでたし。でもミヒロちゃんには到底敵わないけど」
「ま、一応ミヒロちゃんの先輩ではあるし一緒に会いに行こっか」
「はい! 私ももう1人の先輩に会ってみたいです!」
というわけで、私はお二人に連れられてその先輩が住んでいるお家までやってきた。あれ、事務所から結構近い……すぐついちゃった。事務所に負けず劣らずのボロアパートだ。……やっぱり、あんまりお金はないのかな?
「おいきたぞ。開けろモモ」
田中さんが容赦なくドアをノックして、モモさん? を呼び出す。けれど部屋からは何にも返事が帰ってこない。うーん、留守なのかな?
「田中、電気メーター見た?」
「ああ、余裕で動いてる。こいつまた居留守を使いやがって……そうだ! ミヒロちゃん、ちょっと力を入れて扉を開けてくれない?」
「え? でも人の家の扉を勝手に触っていいんですか?」
「大丈夫大丈夫、なーんにも問題から。私が全責任持つし」
「そ、そうですか……なら、えいっ!」
あれ、軽く開けただけなのに扉がバキッて音を立てて壊れちゃった……。やっぱり古いアパートだから設備とか脆いのかなぁ?
「…………なーに、今の音〜」
すると音に反応したのか、中からあくびをしながら人が出てきた。わ、私よりは大きいけど小柄で可愛い人だなぁ。この人がたまこし学園にいる幻の配信者かな?
「あ……田中にカズサじゃん。おっは〜」
「おっは〜、じゃなああああああああああい! もう夕方だぞ、お前またゲームしてお昼寝タイムでもしてたのか!?」
「うん、スマホの充電切れたから溜まるまで寝てたよ〜」
「こいつ……。まぁいい。モモ、配信するから事務所にこい。さすがに仕事をしてもらうぞ」
「えー! やだよぉめんどくさい。どうせ全然人こないしお金も稼げないんだからやる必要もないじゃーん。ほら、田中もカズサも一緒にダラダラゲームしよーよー」
「ふっ、モモ。あの頃から私たちは変わったんだよ……このミヒロちゃんのおかげでね! これ見な」
「うーん? ……………………え? な、なにこれ、カズサの登録者すごい増えてる……。田中、なにもこんなこと借金してまですることじゃないよ……」
「ちっがあああああああああああう! ならこれを見ろ! アーカーイブの再生回数とコメント欄を!」
「……………え? す、すごい。こ、これって……この子がすごい人気なの?」
「そう! この子こそ我がたまこし学園の新人にしてエース、磯部ミヒロちゃん」
「い、磯部ミヒロです! えーっと、モモさん? よろしくお願いします!」
「よろ〜、私は千里モモだよ〜。いやー、ミヒロちゃん可愛いねぇ〜癒されるよ〜」
モモさんは私の頭をなでなでしながら褒めてくれた。うっへへへ〜可愛い人からこうやって褒めてもらえるのも嬉しいなぁ〜。
「でもこの子EXダンジョンでモンスターボッコボコにしてるんだよ」
「………………へっ? う、うっそだ〜、そんなことできるわけないじゃん」
「アーカイブ見な」
「またまた〜………………えっ? み、ミヒロちゃん……うわっ、ほんとだ。ご、ごめんねミヒロちゃん、気安く頭撫でちゃって」
「そんなに怖がらないでくださいモモさん! それぐらい大したことじゃないですから!」
「大したことだよ!? す、すごいねこの子……。で、どうして私に出て欲しいの? ミヒロちゃんに任せればいいじゃーん」
「案件先の企業がお前も出ろと言っているから。まぁいいや、生存確認できれば十分、ミヒロちゃん、モモを抱きかかえて」
「は、はい! すみませんモモさん、失礼しまーす」
「え、ま、まさかの力技〜!? あ、み、ミヒロちゃん力つよ……や、やだぁ! は、働きたくないよ〜お昼寝させて〜!」
「うっさい働けクソニート!!!」
こうして私は抵抗するモモさんをがっちりと抱きかかえながら、事務所まで連れて行くことになった。
モモさん、本当に配信活動したくないんだな……すごい抵抗してくる。でも、私モモさんが配信してるとこ見てみたいからどんなに嫌がっても連れて行くけどね!
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