第14話:大虐殺しちゃうよ♪♪♪


 いきなり襲いかかってきた数多の日本人形たちは、逃げる私たちを追いかけながら目からビームみたいな光線を放ってきて廊下のあちこちが燃え始めた。

 いっぱいいるから避けるのも結構大変だなぁ。でも狭い廊下で戦うと田中さんたちを巻き込んじゃうかもしれないし……どうしよう。


「なんで日本人形が目からビーム放ってんの!? まじで意味がわかんないんだけど!!!」


「とにかく走って逃げるしかないだろ田中! ミヒロちゃん、何か手はない!?」


「うーん、あるにはあるんですけど……お二人が巻き込まれてミンチになっちゃうかもしれないです」


「うん、それは勘弁。よし、このまま逃げるよ!!!」


———

「2人がミンチになるようなことってなんだよwwwwwwwww」

「みっさんピンチで草」

「あのビームで三人の服溶けねーかな」

「あの日本人形のモンスターなんなんだよwwwww」

「さすがEXダンジョン、見たことのないモンスターがいっぱい出てくる」

「磯部ミヒロ伝説もここまでか……」

「おいカーチャン、先輩の意地見せろ!!!」

「カーチャンは草」

「カズサは俺らのママだったのかwwwww」

「カーチャン頑張れー!」

———


「コメント欄のやつらは呑気なこと言いやがって……しかも私はお前らのママじゃないっての!!!」


「ぷぷっ、いいじゃんカーチャン! いい愛称だと思うよ私は。カーチャン!!! アッハハはははははははハハハハハ!!!!!!」


「田中、生き延びたら配信でお前の痴態をとことん暴露してやるからな」


「え、そりゃ勘弁ですよカズサ様!」


「私はすごくいいと思いますよ、カーチャン!」


 カズサさんすごく親しみやすい雰囲気だし、お母さんっぽいところもあると思う。私はママが小さい頃からいなかったから、余計カズサさんのそういうところに惹かれてるのかもなぁ。


「う……ミヒロちゃんのピュアな瞳でそう言われると揺らぐ……。で、でも私はまだ二十代前半なの! まだカーチャンって呼ばれる歳じゃない!」


「え、でもそれぐらいの歳で子供がいる人もいますよ?」


「うっ……と、とにかく私は絶対その呼び名はおことわ……えっ」


 とにかく人形たちから逃げるために走り続けていた私たちは、ようやく広い空間まで出ることはできた。ただ、そこにはさらに無数の日本人形たちが待ち構えていて、カズサさんは思わず膝から崩れ落ちてしまう。


 確かに数は多い。多分、数えたら確実に日が暮れるかな。


「うそ……でしょ。あんなにたくさんのやつらから逃げてきたのに、待ち伏せでこんなにいるなんて……」


———

「俺らのカーチャンが泣いちまった!」

「おいおい諦めてるんじゃねーぞカーチャン!」

「ミヒロならなんとかしてくれるだろ」

「いや数が多すぎてどうにもならんこれは……」

「やっぱEXダンジョンはとことん絶望を与えてくるな……」

「楽しかった、来世でまた会おう」

「正直もっとお前らの配信見たかった」

「磯部ミヒロ伝説の終焉か……」

———


 コメント欄の雰囲気も、さっきまでと違ってお通夜みたいな状態になっちゃった。みんな、この状況をもう絶望としか捉えてないのかな?


「クッソぉ……人生一発逆転のチャンスだったのに……このまま私の人生呆気なく終わっちゃうのかよぉ……」


 いつも強気で強欲で傲慢な田中さんも、この状況はダメって決めつけちゃったみたい。やっぱり、みんなこの状況はもうダメだって思っちゃうものなのかな?


 


「田中さん、カズサさん」


「み、ミヒロちゃん……?」


「そこから絶対動かないでくださいね。巻き込んじゃうかもしれないので」


 さっきの廊下だと確実にお二人を巻き込んじゃうからできなかったけど……このぐらいの広さなら大丈夫。


「きて、ですとろいやーちゃん」


 私とですとろいやーちゃんなら、これぐらい屁でもないもんね!


「さぁ、大虐殺しちゃうよ♪ 【磯部流剣術:閃光】!!!」


———

「え、なんか急に厨二病っぽいことを言い出し……へ?」

「なんかミヒロの姿見えなくなったんだけど、あ、人形が次々と斬られてる」

「まさに光の速さ」

「あの大剣もってとんでもねー動きしてんなこいつwwwwwwwww」

「マジで何者なんだこいつはwwwwwww」

「日本人形がどんどん倒れていくぞ!!!!」

「ふむ、なるほど。よくわからん」

「強すぎてわけわからんわwwww」

「狭いところでやったらミンチになるってこういうことか」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

「磯部ミヒロ最強!!!磯部ミヒロ最強!!!」

「磯部ミヒロ最強!!!磯部ミヒロ最強!!!」

「磯部ミヒロ最強!!!磯部ミヒロ最強!!!」

「磯部ミヒロ最強!!!磯部ミヒロ最強!!!」 

———


「なぁ田中」


「ん、どうしたカーチャン」


「その名前で呼ぶな! ミヒロちゃん……本当に最高じゃない? 可愛くて強くてさ、あとかっこいいところもあって」


「……まじ同意。私の見る目がありすぎたわwwwwwwwww」


「ほんと、こればかりは同意するよ」


———

「なんかこっちはしんみりした雰囲気になってて草」

「やっぱ俺はカーチャンがイイ!」

「マネージャーもいい性格しててすこ」

「たまこし学園、最高!」

———


「みなさーん、終わりました!」


 久しぶりにこの技を使ったからちょっぴり疲れちゃったけど……大満足! いーっぱいモンスター倒せたし! ピースピース♪


———

「呑気にピースしてて草」

「やっぱこいつ最強だわ」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

「磯部ミヒロ最強!!!磯部ミヒロ最強!!!」

「磯部ミヒロ最強!!!磯部ミヒロ最強!!!」

「磯部ミヒロ最強!!!磯部ミヒロ最強!!!」

「磯部ミヒロ最強!!!磯部ミヒロ最強!!!」

「俺らは一生みーちゃんについていくぜえええええええええええええ!」

「もうお前が最強だ、ミヒロ」

「EXダンジョン初踏破期待してるぞ!!!」

———


「えっへへへへ。みなさんありがとうございます! でもまだ70階、気を引き締めていきますね。それじゃあ、次の階へしゅっぱーつ!」

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