「死」について考える

@yunamikyo

第1話

私小説を書く上で自殺願望があると何度も書いて来た。物語を暗くすることでしか自分を表現する方法がなかったからだ。明るい話題を探せばいくらか見つかるはずだった。元は小説を書く上で明るく誰が読んでも楽しめる本を書きたかった。しかし前向きな気持ちを書こうと思っても、心の中に浮かぶ言葉全てが嘘のように思え記すことが出来なかった、そのくらい僕は自分に自信が持てず生きていた。良い意味で自分に正直悪く言えば出来上がる作品には覇気が全くないので、文章をよりよくするために読書をして勉強したことがあったが、長く続かず尊敬をする先輩のアドバイスも味方に出来ないでいた。「誰かに向けて書く手紙だと意識する」、三つ歳上の先輩男性の教えを受けた僕だが果たして誰に向けて文章を書いていたのか、家族へ向けて書いていたのかもしれないし、僕自身へ書いていたかもしれない、文章を書く時は無心になれるのでその状態を楽しもうと書いている。純に楽しいからという理由で僕自身に手紙を書き続けていた。恋人のいる先輩は彼女へ向けて小説を書いており、過去に読ませていただいたが感想を述べることが大の苦手な僕は、

「面白かった」

「面白い映画を見終わった気持ちになった」

「他の人にも読んでいただき感想が聞きたくなった」。

と簡素な感想しか出て来なかった。

先輩と連絡を長いこと取っていない、頭の良い人なので力の差はかなりある、その中で僕の小説は面白くないという課題があるので、先輩は僕のことを下に見て笑うのではないかと不安になり連絡を出来ないでいる。同時に先輩の文章を読んでいると自分なんて、「勉強不足」「向いていない」という課題が出てくる。

自分の中ではっきりと自分の小説が面白くないということを認識しているが、小説を書くことが好きでやる気があり楽しいのだから、向き不向きは別と考え書き進め、自殺願望はいつの間にか薄れ毎日を楽しく生きれるようになった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「死」について考える @yunamikyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ