営業時間変更について。
草木も眠る丑三つ時。星明かりさえありません。
時折じっとり生暖かい風が吹く闇の中に、人々の長い行列が続いていました。
行列の先にあるのは、禍々しい一件の建物。
血のように赤い明かりがぼんやりと灯り、中から絹を裂くような悲鳴が聞こえてきます。
「キャーッ」
しかし、人々は逃げるどころか、まるでハーメルンの笛の音に付いて行く子どものように、悲鳴の聞こえるその建物に吸い込まれて行きました。
「キャーッ」
「キャーッ」
新たな悲鳴が上がる
そう。ここが
順番が回ってくると、ギィギギィ〜と不快な音と共に扉が開きます。
一歩入ると、背後でバタンと扉が閉まり、目の前に浮かび上がるのは化け猫のシルエット。
そして、いきなり、ほっぺに冷たいものがペタン!
「キャーッ」
悲鳴を上げた口の中に、突っ込まれるのはプルルンスティックゼリー。
「キャーッ」
あまりの美味しさに、歓喜の悲鳴がまた上がります。
「いらっしゃいませ、こんばんわ」笑顔で出迎えてくれるのは、ご存じ三毛猫ミケちゃんです。
何を隠そう、ここは猫のお菓子屋さん支店。
化け猫役が支店長のミケちゃん。今夜のお菓子のスティックゼリーでお客さんたちを驚ろかすのが支店長代理のくまぱんちゃんという役回りです。
今、お客さんのほっぺにペタンとした5本セットのゼリーを、くまぱんちゃんが差し出します。
「今夜は、五つの味の赤いゼリーをご用意しました。今、お試しで召し上がったのはアセロラ味。アセロラの他には、ローズヒップ。ストロベリー。
お客さんたちは全員5本セットをお買い上げ。
一本まるまる試食もできるとあって、支店のオバケ対策はミケちゃんの
スティックゼリーは赤だけでなく、黒いゼリーや緑のゼリーの日もありますよ。
というわけで、猫のお菓子屋さん支店では、ただいま夜間営業を実施しています。
寝苦しい夜には、ぜひ、ご来店を!
美味しく、ひんやりなること請け合いですᜊ'ϖ'ᜊ
それと、くまぱんちゃんのお給金も、夜22時以降は残業手当の25%に深夜手当25%がプラスされて、なんと50%増しに。
それ故、くまぱんちゃんの溜め息も50%増し。悩みも増し増しになるのでありました。
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