【詩】死連



月の輪郭を

捉えることはできず

薄い雲に透かされて

ただ

ぼんやりと浮かぶ


今宵は

旅立ちの日

全ての縁を切り

一人の私は

頼りない足を

踏みしめた


ぼんやりと

ただただ浮かぶ月の

光が

恋しく

世を照らす

それは

やがて

厚い雲に遮られた


闇の中に

化け物が蠢く

人食いの半妖は

その口を開けて

待っていた


私の足音を聞きつけ

背中を刺す視線

瘴気が満たす

空間を


ああ

月が顔を出した

命拾いをした

ような

頼りない足を速め


ああ

旅は始まったばかりだというのに

左の鞘は

刃を一本吐き出し


ああ

赤い輪郭が

歪み

月の輪郭が

はっきりと

瞳に映る


生きるためのこと

許してください


私の旅がはじまる



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