前のエピソード――３－０：断念

４つ目のシナリオ

【基本世界設定】

　異次元の同世界と少し違う変化が起こり成り立つ世界。

　この世界には超娘と呼ばれる常人の数倍もの力を持つ女性が稀、と言うには割りと良く生まれ落ちる。

　超娘とは力、筋力、肉体、骨といったフィジカル面が通常の女性より大きい娘の事を言う。

　走る速さを例に挙げれば通常成人女性であれば走る速さは時速１０ｋｍ程度が良い所だろう、だが超娘は５０～７０ｋｍ程度を平均的に走る事が出来る。

　それに耐えうる肉体と筋肉と骨を持ち、常人より非常に強く頑丈な女性が超娘と呼ばれるのだ。

　そして超娘は他に特殊な強い本能を必ず持って生まれてくる。

　闘争本能と暴力への忌避。

　強すぎる闘争本能は暴力による争い以外の競い合いに対して発揮される。

　特に走る事に対して一番強く闘争本能が発揮される事が多い。

　中には野球、サッカー、バトミントン、バレー、バスケット等の球技関連に発揮される事もあるが、凡そ８割近い超娘は走る事を好む。

　そして暴力への忌避、人を動物を生き物を暴力によって害する行動を非常に嫌い、強制されたり仕方なくであろうと行い続けると精神崩壊を起こしてしまう程にその忌避感は強い物となっている。

　あくまで害する行為での暴力であり、日常的な軽い接触、漫才的などつきあい、躾、感情の発露による行動は通常の人と変わらない程度に当たり前に行っている。

　戦争、武道、生死に至る強い力、そう言う類への忌避感だ。

　これに例外は無く、必ず超娘はこの二つの本能を持って生まれてくる。

　そしてこの世界には超娘達が競い合う場所が用意され、それを管理運営する組織も存在している。

　超娘競技協会、通称ＳＣＡ（Ｓｕｐｅｒ　Ｇｉｒｌ　Ｃｏｍｐｅｔｉｔｉｏｎ　Ａｓｓｏｃｉａｔｉｏｎ）。

　世界各国に存在する超娘の為の組織だ。

　主は競争、ＳＣＡのほぼ９割はこの運営に当たり、残りの１割が球技関連の運営を行っている。

　収入源は選手たる超娘関連の各種グッズ、競争動画、競技場関連、広告、放送、競技関連者会費、寄付、ギャンブルが主となっている。

　この収入から競技選手への報酬が渡されるレースや競技等が開催される事になる。

　より強い超娘がいる国が強い、とは限らないが、豊かになる事が多く強い超娘がいる程、国家間での発言力は上がる世界なのだ。

　とは言えど、その強い規制も時と共に緩み、現在では国家間での移動、移籍、参入等が比較的緩く可能となっている。

　アメリカのレースに日本の超娘が出る事も可能となっているし、日本のレースにアメリカの超娘が参加する事も可能だ。

　競い合い高め合う、その為により多くの、より競い合える超娘達の為の場所を用意する為に世界は変化していった。

　何故強い超娘がいる程豊かになるのか、理由は定かとされていないが世界の理として世界に認められている。

　国内だけのレース等で高め合い、強力な超娘、アイドル的な超娘が現れたりした場合に鉱石類の発掘量、農業関連の豊作、動物等の健康等と言った実益がはっきり解る形で現れるのだ。

　これが海外の大きな格のレースで勝利を収めるなどと言う事があればより多くのそう言った出来事が起こる。

　知らぬうちは国内だけで規制されていたレースだったが、徐々に海外で勝利する程豊かになると言う事が判明していき、少しずつ規制が緩み、今ではほぼ自由に近い規制までになったのだ。

　そして競い合いでの争いではない、物理的な戦争等の類を起こせば起こす程、その国は貧しく力を落としていくと言う事もあり、争いは超娘の競い合いの強弱で語られる世界となった。

　これはそんな世界で競争の世界に足を踏み入れ競い合い、魂を心をぶつけ合いながら競い合う超娘達の物語。

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・この世界はこちらの世界の類似世界で、多少の違いはあれど大きすぎる程の違いが無い程度に発達している世界となっている。

　銃等の兵器も存在はしているが、兵器類はその発達が著しく初期段階で止まり、歴史的な過去の産物として語り継がれているレベルとなっている。

　パソコンやスマホ等は普通に存在し、生活環境もこちらの現在とほぼ変わらない、もしくは大きく上回る豊かさを誇っている。

　格闘技等は普通の人の中では活発に行われているが、こちらの世界よりも規模は小さく、それ以外の競技関連も規模は軒並み小さくなっている。

　この世界での主要競技は超娘のレース。

　次いで人の野球やサッカー、ラグビー等の球技となり、それに次いで超娘達の球技や人の競争等、そして最後に格闘技関連と言う形となっている。

　人の球技関連であれば１番人気が出る試合で集まって日本であれば１万人程度、海外であっても２万超が限界だが、超娘のレースは良く行われる日常的な格の低いレースでさえ数万、少し規模が大きくなれば１０万に届き、１番格が高いレース等になれば人気が無いレースでさえ２０万前後、人気が凄いレースになれば６０万程度の人や超娘が集まる。

　過去最大観客数の記録として残されているのは１１２万人。

　強い超娘がいない国は資材が少なく貧しい事が多いが、飢える程にはならず、強い超娘がいる国は資材が枯れる事なくより強く大きくなっていく傾向にある。

　そして強い国は余り強くない国を補助し、それを名目にその国の超娘を調べ勧誘し自国へと誘うと言う事が多くなり、強い国は強いまま、弱い国は弱いままと言うのが殆ど。

　稀に自国愛に溢れた伝説的なレベルで名を遺す超娘が生まれると、弱かった国がそこそこレベルまで持ち直すと言ったこともあるが、それが続かなければまた戻る為、国家間の力関係の変動は上位は上位、下位は下位の間でしかほぼ動かない。

　強引に争って奪うと言う事を行えば逆に貧しくなるので、与え恩を売り断れない状況を作っての平和的で惨いやり取りが主となっている。

　より強い超娘を得る為に力がある国はより多くの、より貧しい国に支援を行い続けている為、世界は一応平和ではある。