腐女子は天才陰陽師〜私は呪いを解くよりもBL乙女ゲーをプレイしたいんだ。ハイスペックイケメンに溺愛されても2次元が好きだから遠慮します〜
神伊 咲児
第1話 私は腐女子だけど実は
はじめに。
今作は賢いヒロインコンテスト、最終選考の24作品までいった作品となります。
しかし、人気はありません。
本来ならば、ここまで人気が出なかった作品は、未完の場合は削除対象です。
未完ですが読みたい方だけどうぞ。
個人的な記念作品として完了して掲載させていただきます。
現在、作家業を本格的にこなしていく上で、人気の出ない作品に時間を割くわけにはいきません。
たくさんの読者さんが楽しみにされているブクマ数の多い作品に執筆時間をかけたいと思っております。
ご理解をお願いいたします。
────────
『ダ、ダメだよ。先輩……。そんな所……』
『いいじゃないか凛。俺はお前のこと……』
『で、でも……。僕たちは男ですよ?』
『それでも俺はお前のことを』
『あむぅッ!!』
強引なキスキターーーーーー!!
やっとこ来たよエロイベントぉおお!!
先輩と後輩の禁断の恋。萌えるぅううう!
先輩の愛撫は後輩、凛くんの首もとを過ぎて鎖骨を舐める。
凛くんのシャツのボタンは1つずつ外されて……。そして、その下は禁断のチク……。
ピンポーーーーーーーーン!!
ああもう!
めちゃくちゃ良いイベントなのにぃいい!
こんな時に客かよぉお!
「はい? どなたぁ?」
インターホンの画面にはイケメンの男が映る。
「げっ」
凄まじく不機嫌そうな顔をしているな。
「携帯に何度も着信を入れたのだが?」
スマホには10件の着信表示。
ヤベ。
無視してるのがバレた。
でもさ。仕方ないよね。エロイベントなんだからさ。
「ははは。サイレントにしてたのでぇ……」
「とにかく出てこい」
めんどくせぇ。
とりあえず出るかぁ。
ガチャ。
扉を開けると香水の匂い。
バシッと着込んだスーツはテカテカと光っている。
高級なブランド物なのだろう。
身長180センチの超イケメンである。
とても、こんなワンルームマンションに来るような人物ではない。
「……なんですか?」
「お前、その格好……。もう昼だぞ?」
「ええ。でも、日曜日はバイトは休みですしね。オフの時くらいいいでしょう」
「ジャージ姿でボサボサ頭。それでも
「んもう。小言を言いに来たんなら帰ってくださいよ。私は忙しいのですから」
「どうせ。ゲームでもやっていたんだろう?」
ギクゥ……。
鋭いな。
彼の視線は部屋の中を覗こうとする。
おおい。見るんじゃない!
私は顔を動かしてディフェンスを決めた。
「お、乙女のプライバシーです」
「ゲームをやるのがか?」
「人の趣味にとやかく言うのは野暮ですよ。それよりなんの用ですか?」
「仕事だよ」
「えええ? 今日はオフですってぇ」
私が面倒くさそうに返すと、彼は目を細めた。その口から平和な日常をぶっ壊す、とんでもない言葉が発せられる。
「死人が出ているんだ。急いでくれ」
おおよそ、この状況では似つかわしくない言葉だろう。
でも、これが当たり前でもあるのだ。
「そう言われてもねぇ。私は忙しいんですって」
BL乙女ゲーをやっているからな。
半日費やしてやっとこエロイベントが来たんだ。こんな機会を逃せるか。
「人の命とゲーム。どっちが大切なんだ?」
「ゲ……」
おっと、人の道に逸れる所だった。
「も、勿論、人の命ですよ。あはは」
「お前、今、ゲームって言いかけただろ?」
「そ、それでも、勤勉なフリーターなんだぁ。休みはゆっくりしたいんです」
「本部から僧侶が5人派遣されたが、既に2人が重症だ。お前の力が必要なんだよ。安倍
ううう。
「休みの日に働かすのは労働基準法に違反しているのですよ?」
「人の命がかかっているんだ! 頼むから急いでくれ!!」
「うう、鬼ぃい」
私は早々と着替える。
保護色のジャケットを羽織りジーパンを履く。
勿論、ノーメイクである。
そう、私は腐女子なのだ。
陰キャでオタク。
ゲームが恋人。
色気なんて皆無。
しかしながら、髪の毛を少しだけ梳かしたのは乙女のなごりであろう。
マンションの外に出ると高級外車ロールスロイスが堂々と止まっていた。
道ゆく人が見惚れるほど外装はピカピカである。
「急いで乗ってくれ。すぐに向かわなければならない」
「はぁ……」
こんな車の助手席に乗る私。似合わねぇ。
運転は
彼は27歳のエリートだ。外資系のコンサルタント会社を経営しているらしい。年収は億を超えているとか。
そんな彼と兄妹になったのはつい3年前。私が18歳の時だ。
私は能力を認められて、安倍家の養女になった。
まぁ、その経緯は話せば長い。
とりあえず理由だけを説明すると簡単だ。
ずばり、お金が欲しかったから。
孤児院にいた私にはお金がなかった。
高校を卒業した私はどうしても専門学校に行きたかったのだ。
世代々木アニメーター学院。
そこの入学費用がどうしても欲しかったのだ。
それ故に、私は安倍家の養女となった。
学院を卒業した私はアニメーターにはなれなかった。
現実は厳しい。
私は絵が下手だったのだ。それも極端に。
右向きの顔ってどうしても上手に描けないのよねぇ……。
決定的に才能がないようだ。よって就職先は見つからずフラフラとしている。
バイトで足りない分の生活費は全て安倍家が持っている。
よって、私は逆らえない。
本当はこんな仕事、嫌なんだけどなぁ……。
安倍家が私を養っているには訳がある。
私の能力を見込んでのことだ。
「依頼人は息子の異常を止めようとしていた」
「じゃあ、依頼人の子供が呪われてるんですね?」
「ああ。依頼者は父親。……もう息子に殺されたがね」
安倍家は本業のコンサルとは別に、呪いを解く特殊な仕事を生業としている。
それが現代に生きる陰陽師なのだ。
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