第3話 恋?

……恋?


ですか?


そりゃあ随分と気難しいお題ですねぇ。



何せ僕は恋愛小説家には向いちゃいないから


何とも言えませんが



……何で書かないかって?



それはね、僕が書くとどんなロマンスも


悲恋に変えてしまうからですよ




ただ、恋と愛の違いなら


もう子供でもあるまいし、分かりますよ



……ああ、そうだ。



大人ってのは野暮な恋をすっ飛ばす悪い癖が御座いませう?


そうしたらね、最近僕はそれを反省せねばならないと


考え直す機会が在ったのですよ





今日は胃が痛いと思ったら


よく場所を確認したら心だった


あれと不思議に思って心臓に触れて


心不全ではあるまいかと不安になったが


案外正常であった



そして、ではこれは何の病かと


散々焦り調べて気付いたのだ


ああ、ずうっと忘れておったのです


これが恋煩いの痛みだと


とうとう呆けましたかな




……ねぇ、酷い日記だと思いませんか。



……可笑しい?



そりゃあ、良かった。


可哀想と言われるよりかは幾分か



……そのですね。



僕は今、貴方が言いたい事にも気付いたし



僕が言いたい事にも気付いておるのでしょう?



……僕はしがない物書きです。


他に何も愛する物はない。



恋に何度堕ちようが、愛する物はそれだけなのです。




恋した全てを孤独にしちまう



駄目な奴なんですよ




この頭のネジを拾い終わるまでの



淡く切ない恋だったと思わせてはくれませんか



今はただ



夜も明けない夢の中で御座いませうね




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る