宇宙人の息の仕方
黎
第1話
「新イベの情報見た?」
「見た!!数ヶ月ぶりに推しのガチャ来るからもう今から石集めに必死w」
「あと3日じゃんwさすがに今からじゃ厳しいって」
「天井だけは勘弁…」
「天井できる石がほしぃ…」
「課金しか私にはもう道がないのか…」
「ね、佐藤もこのガチャ引く?」
「いや、今回はやめて貯めようかな。」
「えらすぎー」
「私絶対貯められないw」
「どうしてもビジュに惹かれて引いちゃうw」
「それな」
「ね、そういえばさ____
苦しい。
ここまででお察しの通り、私は集団の中で口を開くのが苦手だ。
どのタイミングで口を開けばいいのかよくわからない。ずっと周りが喋っているのに突然自分が口を開いてしまえば白けさせてしまいそうで。周りの会話に耳を傾けることに専念して適当に頷いておけばとりあえず、馴染める。そういう技を16年間生きてきて徐々に身につけた。
浮かないように、目立たないように、
私は空気。私は空気。
こうして今日も一日を波風立てずに無事終わらせることが出来た。
小さい時から、集団に馴染むことが苦手だった。
というか、幼い自分は自分が一人だということを全く気にしていなかった。
何故大人たちが自分を無理矢理にでも集合体に入れようとするのか理解出来なかった。
「ね、あっちでおともだちと遊びましょうね」
「れいちゃんもみんなと一緒に遊ぼうね」
渋々輪の中に入ったところでどうすればいいのかわからなくて、結局気づいた時には端の方でカタツムリと遊んでいた。
それを見た先生がまた輪に私を放り込む。その繰り返し。
「一人でいて寂しくないの?」
大人はよくそう聞く。
A,寂しくない。
と、答えるとどうやら大人は強がりを言ってると思うらしい。
世の中には一人を楽しむ人が何万といるじゃないか。
大人は自分を理解出来ないらしいと幼稚園生にして理解した私は徐々に口を閉ざすようになった。
自分が口を開くと周囲の人間は首を傾げる。
気づけば周りの子供達も同じような反応をするようになった。
「やーい宇宙人!」
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