転生したら世界樹の苗でした

青木タンジ

第1話 戦士の最後の抵抗

鋼鉄のぶつかり合い、戦いの叫び声が響き渡る中、比類なき技と勇気を持つ戦士アリンは、迫り来る闇と激しく戦っていた。彼が守ると誓った王国は破滅の瀬戸際にあり、彼はその最後の希望の砦として立っていた。


「前へ!」彼は咆哮し、減少しつつある軍勢を結集させた。「故郷のために、家族のために!」。


彼の剣は手の中で舞い、闇の大群を相手に銀色の光を放った。彼の横では、仲間の戦士たちが彼の叫びを代弁し、圧倒的な不利を前にして反抗の合唱を響かせた。


「アリン、もう長くは持ちこたえられない!」彼の忠実な友人であり副官であるジョラーが叫んだ。


アリンは戦場を見渡し、心が重くなった。「ならば、我々はここで戦おう。我々は最後まで戦う!」


戦いが激しさを増すなか、アリンは混乱から逃れて無事に隠れている我が子のことを思い出していた。彼はメモを残していた。愛と希望の最後のメッセージだった。もう二度と息子に会えないかもしれないと思うと、彼の心は痛んだ。


突然、耳をつんざく叫び声が喧噪を切り裂いた。アリンは血の気が引き、振り向くと、暗い人影が息子の眠る隠れ家に向かって進んでいくのが見えた。


「ダメだ!」彼は叫び、絶望的な力を振り絞って敵陣を突破した。彼は人影に辿り着き、剣と闇の刃がぶつかり合った。


「その子を傷つけるな!」。アリンは叫び、その声は愛と恐怖の力で共鳴した。


その人物は、冷たく、空虚な声で笑った。「お前の愛が破滅を招くのだ、戦士よ」。


その瞬間、アリンは自分のすべきことがわかった。空に向かって最後の決意を込めた視線を送り、無言の祈りをささやき、これが自分の最後の行為になるとわかっていながら剣を突き出した。


剣が命中すると、まばゆい光がアリンを包んだ。闇が反動を起こし、一瞬、時が止まった。


アリンの最後の思いは子供を想うことで、静寂の中に静かに誓いの言葉が響いた。


そして、すべてが消え去った。


---


アリンは戦いの音ではなく、木の葉の優しいざわめきで目を覚ました。方向感覚を失い、脱力した彼は、自分が動けないこと、かつてのように自分の体を感じることができないことに気づいた。


「何が...私はどうなってしまったのだろう...」と彼はつぶやいた。


彼の目は、もしまだあったとしても、新しい世界、魔法と神秘の世界に向かって開かれた。世界樹が頭上にそびえ立ち、その枝は生命と知恵の天蓋となっていた。


「僕は...苗木?」アリンは戸惑いながらも、あることに気づいた。自分の犠牲が彼をこの森の中心へと導き、想像もしなかった姿に生まれ変わらせたのだ。


新しい存在の現実を目の当たりにし、アリンは深い喪失感に襲われた。しかし、彼の中には希望の光がちらついた。世界樹の魔法が彼にささやきかけたのだ。それは、成長の約束であり、彼が想像もしなかったような形で生命が続くという約束だった。


森の静けさの中で、アリンは理解し始めた。彼の旅は終わったのではなく、思いがけない新たな道を歩んだだけなのだ。

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