第9話
ノッジは大きく息を吐いてから「他の連中には内緒にしてくれよ」と言い、それに頷いてみれば神妙な面持ちで話し始める
「最初に気が付いたのはガレスの奴だった」
ガレス、確かノッジ坊より少し年上の男で森に入る許可を出されていたはずの男だ
「1週間くらい前だったか、普段森のもっと奥の方でしか見ねぇ連中がぞろぞろと浅い場所に顔を出してるって話が出てたんだよ、爺さんたちは俺たちと違って基本奥の方にしか行かねぇから気が付かなかったかもだが」
それは確かにそうだ、基本的に森の深い場所に行けば行くほど植物はその恵みを増やすが逆に獣やあるいは元気過ぎる森そのものが時に牙を剝くこともある、リリアは無論歯牙にもかけんし儂も慣れておるからそこまで危険ではないが経験が足りない者であればあまり気軽には行けない場所だ
「うむ、そうじゃな基本的に深い場所で動物を狩るなり、森の恵みを頂戴する方が大半じゃなそちらの方が村の者たちも喜ぶからの、浅い場所は毎回通り道で通るがそこまで深く観察することも少ない」
「だろ?、まぁそんなわけで爺さん達が気づいてないだけでそんな事があったわけだ、ただそれだけなら別にそういうこともあるかと思うだけで終わったんだが・・・どうにもおかしくてな」
「おかしいとは・・?」
「怯えてた、が一番しっくりくるな言葉は通じないが明らかに森の奥の方を警戒してまるで逃げてきてるみたいな有様でな普段ならこっちが近づけば逃げていくような奴らもこっちを気にもしないくらいだ、俺たちに意識を向ければそれだけで死ぬとでも思ってそうな感じだった」
「・・・・」
それは、確かに異変と呼べるような状況だ
「だから、俺たちは何があったのかを調べることにした」
だが話はそれで終わりではないらしい
「俺とさっき言ったガレスに他にも何人かで森の奥に行くことにしたんだ、もちろん準備はしっかりしてな、それで・・・・ガレスが見つけたんだよ」
そう言って、まるで絞りだすかのように呟いた
「ドラゴンを」
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