第8話

取り合えず立ったままで話すのも疲れるのでノッジ坊を連れて集合場所から少し離れた場所に腰を下ろし話を再開する


「よくよく考えれば、リリアの嬢ちゃんにちょっかいかける方がメンドクサイことになるだろうしな、他の連中には話は通しておくよ」


「すまんのぉ、助かるわい」


「いいんだよ、さっきも言ったが爺さん達が来てくれたのはマジでありがたい、俺からも釘は刺すつもりだがやっぱりバカをやる奴はどこにでもいるもんだからな」


「うむ儂にも覚えがあるわい。若い頃は得てして後から思い返せば顔から火が出る寄るなバカバカしいことや禄でもないことをやりたがるものじゃ」


自分の過去を思い出しながらそう言葉を紡ぐ、若い頃は視野が狭く自分が特別な存在のように思える時期が誰しもあるものだ、自分も覚えがある


「で、実際のところどうなんじゃ?」


だが実際のところ1人か2人程度がバカをする程度ならノッジならどうとでもなるだろう

ノッジは強い、村でリリアを入れても10人もいない魔術を扱えるうえに昔聞きかじった程度の儂が教えた武器の扱いは都市部の狩人にすら劣らないまで成長した、さすがに物語の英雄のごとしとまでは言えないがそこそこやる男だ


「儂だけならともかく、お前さんがわざわざ顔を合わせづらいリリアまで呼んだとなれば何かあるんじゃろ」


そんな田舎の村には似合わない腕前の男が誰かに助力を求める、儂だけなら念のためで済むしかしリリアを、魔術が使えるリリアをわざわざ呼ぶにはそれだけのナニカがあると見える


そう考えながら集まっている面々を見れば数少ない魔術が使える者たちが見えるだけでも5人、本来であれば村の要である魔術が使える人材は【森の日】には外に出ないはずなのにだ


「最初はお前さんが言っておった若い連中が相当問題児なんじゃろうと考えたが、魔術が使える者たちまで顔を見せていると考えればそれはないじゃろう、そこまで問題児であれば森には行かせられんし誰かが止めるじゃろう」


「となれば」


「他に考え付くのはそうじゃな、森で何か異変があったとかかの」


自分のなかで出した結論を元にノッジ坊に問いかける、外れていれば別に構わない深読みした儂が恥ずかしいだけじゃ、だが当たっているのならば・・・・


途中から黙ってしまったノッジはそれを聞いて


「はぁ・・・・」


ため息を吐き、呟く


「だてに長生きしてねぇよなぁ爺さん」


「うむ、これでもそこそこ人生経験豊富じゃよ」


それは、暗に正解だと言っているようなものだった

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