サボテン

みなみくん

サボテン

さようならの雨はしとしとと降り続いた


予感はしてたし、きっとこうなると思ってた


少しずつ


壊れてしまわないように


そっと触れるようになっていって


終わりを迎えた



あの日、初めて出会った日と同じ雨


同じ傘の色



チクりと痛む


花に興味があるような僕でないけれど


君とお揃いで買ったサボテン



そっと触れると、最後の君と同じようにそっと触れると、チクりと痛む



なにを想うわけでもなく



けれど、なぜか





君が好きな色だった


咲いた花を見つめてため息が零れた


残ったサボテンと君の好きな色と小さな痛み



それだけがハッキリと残った






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

サボテン みなみくん @minamikun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る