第一章 読めない義弟①
私、レリア・アメール・クラヴリーがルディウス・フォン・クラヴリーの義理の姉に転生したと気付いたのは、ルディウスと初めて顔合わせをした七年前だった。義父となるクラヴリー公爵からルディウスを
気を取り直して話を戻そう。この物語は二人の男がヒロインである平民出身の伯爵令嬢、マリエット・ドゥ・セルトンを
一人は王太子のシルヴィード・ルネ・ベルナール、もう一人は我が
愛を知らないルディウスは正統派王太子のシルヴィードとは
それがルディウスによって
私の母とクラヴリー公爵は
公爵を忘れられない母と伯爵との結婚生活は言うまでもなく
一方、クラヴリー公爵の方もプライドの高い王女との結婚生活は破綻。公爵夫人となった元王女はルディウスを王家に仕える者として厳しく
追い打ちをかけるように、愛する男を
物語とはいえ実際に生活してみると、あまりにも
だから記憶が戻った私は決めたのだ。
ルディウスを弟として愛しまくると!!
ルディウスの心が病む原因になったのは愛を知らなかったからだ。だったら私が愛とは何ぞやということを、身をもって教えてあげようじゃないの!
ということでルディウスと出会ってからの七年間、あらゆる方法でデレデレに甘やかそうと遊びに
毎年の誕生日プレゼントもあげているのだが、私は一度も
一体どうすればいいものか……。
日課となっているお茶の時間。庭に来ていた私がテーブルに突っ
「お待たせしました。姉上」
「ルディ」
ルディウスの
うちの子、カッコ良すぎるでしょ! ラフなシャツが
ヒロインを取り合うならやっぱりイケメンじゃないと! という作者の意図通り、出会った当初は
「今日も訓練してきたの?」
垂れそうになる
「精が出るわね。
私もルディに愛されようと頑張っているけれど、
考え事をしながらお茶を一口飲むとルディが口を開いた。
「……
突然のお誘いに飲んでいたお茶を
私が街に誘っても全く付き合ってくれなかった子に何があった!?
「ど……どうしたの突然?」
「夜会用の
なるほど。私の一つ下のこの子は現在十六歳。成人したことで夜会に参加できる
「それならお姉ちゃんが成人祝いに買ってあげるよ」
「いえ……。王太子
「ブホッ! ゴホッゴホッ…」
今度はお茶を飲み込めずに
「……姉上……」
さすがの無表情も
原作を知っていれば驚かずにはいられない! だって……。
「王太子殿下と知り合いなの!?」
原作で王太子・シルヴィードと知り合うのはヒロイン・マリエットと出会ってからのはずなのに、なんでもう知り合ってんのよ!
「王宮にいるとよく
なにそのヤンキーによく絡まれますみたいな文言は。
「護衛など
そうか。よく考えたらこの子が王宮で騎士をしていること自体が原作から外れているのか。
原作でのルディウスは実母の
まさか私の愛が伝わったとか!? ルディを見ると無表情のままお茶を飲んでいる。私といても全く楽しそうな顔をしないルディに確信した。うん、違うな。
それにしてもこの子が騎士か……。
「姉上。子ども
「立派に育って
ルディは小さく
「成人女性が成人男性にするような
ルディは私の腕を掴んだまま立ち上がると、
「姉からの愛情表現に
「あなたは姉ではありませんから」
分かっていた。
ヒロインにしか興味の無いこの子は私を家族だとは思っていない。この子に愛を
グエッ!
思わず苦々しい顔で首を押さえてしまった。
「どうされたのですか?」
「ちょっと未来を
冷静になるため席に座りお茶を飲んだ。
最初の頃はルディに愛情を持って接すれば殺されるのは
それは私が王太子・シルヴィードとお友達になるという作戦だ。
彼と仲良くなっておけば、最悪私だけでも守ってもらえるかもという愛の
それに私はこの世界の原作者。王太子の性格も好みも
「ふっふっふっ……」
「悪い声が
危ない危ない。本音がダダ
チラリと貴族らしく
もしも暴挙に走った時用にルディを
「それで……」
ルディがカチャリとカップをソーサーに置いた。
「明日は付き合ってくださるのですか?」
うだうだ考えていてもなるようにしかならないし、今はまだもう少しこの
「もちろんよ! 私が最高の
胸を張りながら自信満々にドンッと胸を
「姉上の美的感覚はあまり信用していませんので付き
前言
ホント! 可愛くない義弟だな!!
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