第84話 謎解きゲーム
2040年8月16日。朝10時。
ミラクルミニリニアを堪能した三者はミユのお望みの謎解きゲームにたどり着いていた。『学べる謎解きゲーム!』と書かれた漆黒の四角い建物にはこれまた大勢が列を成していた。
ゲームのやり方は至って簡単。
全部で三つの謎解きの問題が出題される。
正解していくごとに次の問題のある奥の部屋へと進めることができる。
不正解のドアを開けた場合or分からずリタイヤのドアを開けた場合、謎解き失敗の通路に誘導されてしまい、ゲームオーバーとなってしまう。その際、罰ゲームとして、ドアノブに軽い電流が流れる。
見事、全問正解できたチームには観覧車の無料パスが貰える。
「俺の今日の運勢は1位だった……多分イケるはずだ」
「し、紫水くん!? これは別に運ゲーじゃないからね?? クイズ! 問題! 謎解き! 頑張って頭使って正解するの!」
少しズレた考え方をしていた紫水にレンは冷静にツッコんだ。
「たまにはレンみたいに冗談を言ってみたくなっただけだよ」
「やっ~と私に憧れるようになってきたのか~紫水くんは!」
「あ、それは全然全く違います」
「ハァ!?」
時間や場所関係なく大きな声で『いつもの日常』を繰り広げていた二人は、それを聞いていた周りの人たちにクスクスと笑われてしまっていた。
「あ、ミユちゃんだ! 紫水様にレン様も~。奇遇ですね!」
レンたちはその声に振り返るとそこにはメイド服を着ていた白薔薇朝が手を振っている姿が見えた。その隣には髪の毛が黒以外はほとんど瓜二つの黒薔薇夜と、笑いながらカメラを構えていた神宮寺優奈がいた。
ミユはずっと会っていなかった優奈のところに向かって並んでいた列を飛び出し、久しぶりの挨拶をした。
「優奈~YouTubeの動画ずっと見てたよ~! 今日は優奈たちもドリームエコランドに遊びに来たの?」
「何を隠そう、このドリームエコランドは
「そうだったんだ?!」
「私たちはちょうど休暇ということもあり、YouTube配信で宣伝する時のネタ集めのため来たんですよ! なのにミユや紫水くん、そして推しのレン様に会えるとはっ……!」
優奈は撮影中だったカメラを下に降ろし、ミユとの話に盛り上がっていた。
「朝、
「いえいえ! あの事件はとても辛かったですが……ミユと仲良くなれて私はとっても嬉しかったです!」
「私も! 今度は夜ちゃんも一緒にどこか行こうよ!」
ミユはクールに話の輪にに入らずに静かにどこか寂しそうに聞いていた夜にそう明るく話しかけた。
「……私もいいんですか?」
「もちろんだよ!」
夜は裾をもじもじとと掴みながら照れていた。
「お~いミユ! 謎解きゲームは2人1組がベストらしい。俺はちょうど隣にいるレンと参加するから。そっちはそっちでペアを作って参加しよう~!」
順番が近くなった紫水はキャストさんから教えてもらったその情報をすぐさま後方のミユたちに伝えた。
それを聞いた四人は笑顔で手を振っており、紫水はそのままレンと二人で参加するとキャストさんに告げた。
「こういうのちょっとドキドキするね……!」
二人はチケットを切ってもらい、早速中に入ると涼しい風が通る長い廊下が現れた。両サイドには小さな額縁がズラリと並んでおり、電気に関する豆知識や環境課題などのコラムが分かりやすく提示されている。
だいたい頭に入れたレンはいよいよ第一エリア、最初の問題が出される部屋に続く扉に手をかけた。
……しかし。
「あ~涼しい~癒される~」
紫水は冷房の効いた廊下にいつまでも立ち止まり、コラムをぼんやりと眺めていた。
「ちょっと!! 涼みに来たわけじゃないぞ? 紫水! 私たちは名探偵として最速で全問正解する義務があるんだから!」
レンは紫水の服の端を怒り気味にグイグイ引っ張り、第一エリアに入った。
『Q1.何故カラスは電線に止まっても感電死しないの??』
『A1.一本の電線にしか触れていないから→赤の扉へ』
『A2.足がゴム(電気を通さない)のような性質だから→青の扉へ』
『A3.静止した状態で止まっているから→黄の扉へ』
部屋の中央の柱に一問目がそのように書かれており、真ん中が青の扉、向かって右が赤の扉、その反対が黄の扉になっていた。
問題と答えの選択肢を読み終わった紫水とレンは同時に次の言葉を呟いた。
「「さっきのコラム、ちゃんと読んどけば良かった……!」」
レンはおもむろに右眼の包帯を外し、問題の前に立ち、真剣な表情で「
当然、答えが解るわけではない。
「酷いボケだ……」
その様子を見た紫水は心底呆れてそう言った。
紫水は学校で習った電気の性質を記憶の中を遡りながら思い出していた。
「……何か分かった?」
「昔小学校の理科の先生が電気を水に例えて教えていた気がする……。水=電流みたいな……。そうだ、水が流れるためには高低差が必要なんだ! つまり、電流も高い所から低い所に流れるみたいな特性なんじゃないか?」
「流石! なら、答えはAだね! 電線が一本だけなら高低差はできないから電流はカラスの体には流れないってことだろうね~」
紫水はゆっくりと深く頷いた。
それを確認したレンはおそるおそる赤の扉を開けた。
「正解のようだな」
ドアを抜けるとまたもや同じ雰囲気の部屋があり、二つ目の問題が提示されていた。ゲームの仕様上、次の問題が現れたということは、それすなわち、先程の問題は正解したということになる。
早速、レンはその問題の前に立ち、ゆっくりと読み上げた。
『次の赤い□に入る言葉をを繋げて一つの文章を導こう。その文章を扉の前で言ってみよう!』
https://kakuyomu.jp/users/myenjoy/news/16818023213376299626
(↑謎解き2つ目の詳細。この先↓から早速謎解き2つ目のネタバレが入りますので注意してください)
◇
「うわっ! ザ・暗号って感じだな」
紫水は示された暗号を一通り見るなりニヤけた。
当然レンもテンションが上がっていた。まさに探偵の出番というやつだったからだ。
「1つ目は『地』だね。矢印の通りに上から時計回りに意地、地味、地下、跡地と地が共通しているからね! これはめちゃくちゃ簡単だ!」
「そう言ってるうちに俺は2つ目が解けたぞ? これは東西南北を全て英語の綴りに直してから考えるんだ。『north=13425』『south=63725』『east=8962』『west=0862』とそれぞれのアルファベットと数字を定義していく。すると、t=2、h=5、o=3、s=6のように共通している定義が見えてくる。そして、肝心の『食べる』は英語に直すと『eat』。e=8、t=2を合っているかをしっかり確認し、aが何かを探すと……東(east)のa=9より、9と求めることができる! 俺、覚醒しちゃったのかな~~」
紫水は顎を手で抱えながらレンにドヤ顔を見せつけた。
レンは冷静に「じゃあ、最後のヤツは分かる?」と返した。
「……これは全部平仮名なの読みにくいな。『子供と大人もみんなとても大事な存在 いつか争いが綺麗に無くなる生活を作り上げ 暮らし易くしよう。』か……」
「きっと平仮名であることがヒントなんだと思うよ。それに紫水、最後の⑤という記号を見落としているよ?」
「あっ!! ホントだ!!」
「ははは、これはおそらくだが飛ばし読みの暗号だね! 私にまっかせなさい!」
レンは指を折りながら5つ目に位置している文字だけを拾うように浮かび上がってきた文字を繋げてゆっくり読み上げた。
「『お ん だ ん か が な い く ら し』。ほえ~! なるほどね!! 1と2も繋げてみるとだね、『地
早速二人で息を合わせてその答えを言うと、扉は魔法のような複雑な開閉の仕方をし、奥の部屋が現れた。
問題が早速目に入り、2つ目の謎解きが正解していたことに二人は安堵した。
しかし。
まだ、ゲームはコンプリートではない。
これが最後の謎解きだ。
『以下のクロスワードを解け! タテとヨコのカギの問題を解いていき、マスを埋めていこう。指定のマスの記号の語を並べ繋ぐと、進むべき扉の鍵を表す単語が浮かび上がるよ。(答え)※○○エ○〇の✓✓✓✓✓シ✓』
https://kakuyomu.jp/users/myenjoy/news/16818023213358749828
(↑謎解き3つ目の詳細)
「制限時間は5分!?」
横に置いてあった大きな砂時計の中央で、5分のタイマーがどんどん減り始めているのが見えた。
「「分担しよう!!」」
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