第二話 城に入り、俺が地下で目にしたもの

 城の役人に引率され、城内へと入った俺は入ってすぐにあった地下へと続く石で出来た階段を下る。


階段を下り、地下に入ると、地下は松明やランプによって作られた明かりのみが地下の空間を照らしているため薄暗く、何人もの重装備を着た役人が俺達、捕らえられている者達を睥睨する。


更に地下内を進んでいくと鉄で出来た重厚な扉が10個程羅列している廊下へと着き、するとその廊下で引率していた役人が止まる。


「~~~~~~~~!!」


大きな声で何かを言い放つと他の人達は扉のある壁と反対側の壁に背中をピタリと密着させた。


言葉が分からない以上、俺はもう同じ捕らえられた者達の模倣をするしかなく、他の者達と同様に背中を壁にくっつける。


 何だ?今から何が始まるんだ?


他の人達は怯えている者や覚悟の決まった表情を浮かべるものなど様々でこれから何が行われるのか想像もつかない。


 周囲を見渡し、俺は心臓の鼓動をバクバクと速くしていると一番先頭の者が役人に指示をされ、俺から見て一番奥の扉を開け、部屋と入っていく。


続いて二番目、三番目とそれぞれが別々の扉を開け、部屋へと入り、中にはその部屋へ入るのを憚る者も居た。


 この感じ、この部屋にろくなことが待ち受けていないことだけは分かる。


 八番目、九番目と部屋に入るとついに俺の番が回ってきた。


「~~!」


恐らく入れと言ってるのだろう。


近くに居た役人が部屋の扉を指して、何かを叫んだ。


 怖いな…けど、入らなかったら多分、殺されるだけだろうし、もう入るしかないか…


 恐怖心に苛まれながら俺は本当に渋々、重厚な扉を開ける。


「~~~~」


扉を開けると目に映ったのは小さな部屋に木で出来た机と椅子が二つ。


机を挟んで向かい合う様に存在していた椅子。その椅子の向こう側の椅子にはこちらを侮蔑するような鋭い視線を向ける女性の役人が座っていた。


そしてその机と椅子と女の役人を二人の男の役人が囲んでいた。


 ここに来て初めての女の役人か。男の役人と同様に重装備を着ていることからこの人も男に匹敵する位の強さを保有しているのだろう。


それに死ぬ直前に俺は女性にトラウマが出来てしまったので少し、今は女性が恐い。


というかこの部屋の感じ、どこかで見たこと…あっ!これ警察ドラマの取り調べ室によく似ているな。


机と椅子と役人の雰囲気といい、恐らくここは取調室か。


なら俺は今から尋問されることになるのか。ここは日本とは違って法とかも整備されていない無法国家みたいだから、恐らく拷問に近いようなこともされるかもな。


でも、拷問されたところで喋ることは何にもないですけど。ていうか言葉がまず通じないんですけどね。俺、詰んだじゃん


「~~~~」


部屋に入って少しの間、絶望的な現状に半分諦めてしまって、立ち止まる俺に女性役人が手前側の椅子に指をさす。


手前の椅子は誰も座っていないので恐らく俺に座れと言っているのだろう。


俺は怖さで震える足で椅子へと向かい、その椅子に腰を落とす。


「~~~~~」

「~~~~~~」


何やら女の役人とその隣にいる男の役人が話をし始めた。


雰囲気から察するにどうやら女の役人のほうが目上らしい。


その間、もう一人の役人が俺の後ろへと回り、口に結ばれている布を解いてくれた。


俺の布を解かせたのは布が結ばれている状況では尋問して、秘密を吐かせようにも喋れないからだろう。


 はあ。でも、やっとこれで少しだけ息がしやすくなったな。


「~~~~~?」


女の役人は男の役人と話がひと段落するとこちらに向けて何やら質問をしてきた。


当然わかるわけもなく、俺は首をかしげることしかできなかった。


「~~~~~?」


続けて質問をしてくるが分かるわけもなく、何をしたらいいのか分からず俺は沈黙を貫く。


”バン!!”


「~~~~~~!!!!」


ほらやっぱり!これ絶対尋問じゃん!恐い!


 女の役人が机を力一杯叩き、その音に俺は勿論のこと他の役人を肩をビクッとさせていた。


「すすすいません!僕も死んでから何が起こっているのかわからなくて!なんで僕は捕まっているんでしょうか!」


通じないのは分かっている。でも、俺はただ胸の内を日本語で話すことしか出来なくて、必死に叫ぶように口に出した。


しかし通じるわけもなく、女の役人は顔をしかめて首をかしげていた。


「~~~~~」


ため息をついた後にまた女の役人は何か俺に尋ねてくるが俺は首をまた傾げる。


すると何故か女の役人はこちらに何やら手をかざしてきた。


その直後だった。


「!?」


 くっ苦しい!息が…出来ない。なっなんだこれ?どうなってるの?誰も俺の首を絞めていないのにこの首が強く絞まっている感覚は。


 女の謎の行動に疑問を持つ前に俺は正体不明の目に見えない力に首を強く締められていた。


「~~~~?」


またも質問をする女の役人は俺に向かって首を絞めるような手の動きをしていた。


そして女の役人が腕を上へと上げるとどういうわけか俺も連動して、体が宙へ浮かび上がる。


 まだ目が覚めてから何が俺に取り巻いているのか何一つ理解できていない俺は今までの出来事全てを凌駕するほどのそんな信じられない現象に襲われたのだ。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る