友達
友達のお姉さんと
一緒に暮らしたことがある
一週間にも満たない期間だったけど
ユニットバスの風呂場で
豪快にシャワーを浴びる彼女
散らばる髪の毛
びしょびしょのバスタオル
スマホで音楽をかけ
歌いながらメイクをする彼女
わたしのお気に入りの枕を使い
すやすやと眠る彼女
家に人がくるなんて
最初はいやで堪らなかったのに
しばらく一緒にいると
心が通いはじめてくる
電灯が壊れた夜の部屋
リビングからの明かりだけで
彼女のほほえみを見たこと
彼女の方言が可愛らしく
声は綿菓子のようにふわふわしていたこと
なんてことない言葉を交わす中で
わたしの心と彼女の心の
境目がなくなるような
凪いだ海のような
しずかで不思議な何かが
空気の表面下に満ちていた
そうして彼女は寮へと帰っていった
使いかけのシャンプーを残して
あれから何年経っただろう
いまでもときおりメールがくる
一緒に過ごした日々を
懐かしく思い返し 返事をする
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