雨と箱


最寄り駅の出口には人だかり

なんだろうと外を見やると

電灯に照らされた明かりの中に

雨の塊りが浮かび上がっていた


わたしはケーキの箱を抱え

とぼとぼ歩く

箱はいちど 落としてしまった

いまは 雨に濡れて

ト、ト、タカ、タンと音を奏でている


家に帰り

ぐちゃぐちゃのケーキを食べた

箱はふにゃふにゃで ケーキには

心なしか 雨水が混ざっている気がした

今年の秋の新酒 飲み比べは

あんまり美味しくなかった

好きな酒蔵のものも なかった

カバンの中の 詩集は濡れた

そんなわたしの 休日


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