郷愁
引っ越しを五回している
両親が別れるときに一回
家を出るときに一回
お世話になった家から一人暮らしするため一回
嫁ぐために仮のアパートへ一回
そこからこの家に一回
祖父母の家に住んでいる時もあったので
今も自分が根無草のような気がする
いつか大阪に帰るつもりだから
また引っ越しはするだろう
学生のときは
人間は地球が家だから
どこに住まおうが関係ないと
たいそうなことを思っていたが
最近になって思うのは
人間は
生まれた場所で生きて
生まれた場所で死ぬのがいい
我が家で唯一のよそ者であった
義父の郷愁はすさまじかった
結婚する前、わたしに何度も
ほんとにいいかよく考えろと言った
何を言ってるのか分からなかった
今ならよく分かる
すべては避けられない道
だけどたまに思う
幸せになれなくていいから
家から出るんじゃなかったと
無理かな
無理だった
だから今ここにいるんだけど
大阪にいたらよかったと
たまにぼんやり思ってしまう
所詮はないものねだり
わたしがわたしである限り
悩みが尽きることはない
どこに行こうと変わらない
わたしがわたしである限り
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