運転してて


 傷つかなくなった


 雨あがりの町を運転していて

 突然そんなことを思った


 フロントガラスの向こう

 プールのように

 濡れた空

 水に満ちて

 

 黒々と光るアスファルト

 タイヤがゆく


 雲間から覗くオレンジが

 溶けていく


 わたし大丈夫なんかな

 傷つかなくなった心のままで

 人になにか求めることを

 忘れてしまった心のままで


 雨あがりの車道が

 きれいだったから

 なんだか突然

 考えてしまった


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