螺旋する国



 わたしたちは五階の住人で

 親に見放されていて

 冷たい鉄骨の螺旋階段に座って

 冷凍庫から取り出したばかりの

 青い月を眺めていた


 四階には人がいなくて

 埃がつもっていて

 たぶん亡霊たちが住んでいた

 あくまで主観


 三階は知らない世界で

 人の気配は感じられたけど

 異邦人 って感じだった

 顔さえ知らない


 二階は可哀想な人たちの集い

 だってこんなにも地面から近い


 一階には猫と暴走族が住んでいる

 常に糞尿の臭いがしている

 それに

 湿気を帯びて冷たい場所

 それなのに暴走族は笑っていた

 アロエもすくすく育っていた

 駐輪場及び駐車場の住人たち


 そんなわたしたちの国

 螺旋する国

 今では綺麗になったと聞く

 わたしのかつての故郷

 螺旋する国


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