箸休め(その柒):今年は豊作な例の“アレ”
年々夏のような暑さが早まっていると感じさせられる、汗ばむようなこの陽気。
今年のGWも晴天……というよりも、うだるような熱気が多かった。
そんな気候の影響から食欲も落ちるかと思いきや、今年豊作な“アレ”のお陰で食べる勢いは落ちるどころか増加傾向が止まらない今日このごろ。
ふんわりとした春の香りと風味、そしてほのかな甘みが旨味に変換され、口の中でしゃくりと軽やかな音を響かせてくれる、期間限定の“アレ”。
そう、『たけのこ』だ。
今年はすでに大ぶりのたけのこをジジババの知り合いから四本もいただき、さらに一昨日は追加で『たけのこをあげるから来て』という連絡が家電の留守番記録に残っていた。
大鍋の中にはまだ食べ切っていないたけのこが山ほど残っているが、昨年は不作だっただけにもらえるものはいくらでももらいたい。
だって、どうせ来年は不作だもの。今のうちに“食べ溜め置き”しておきたいのだ。
まだまだまだまだ。食べたい欲求が止まらない。
そんなたけのこ欲求に身を任せていた今年のGWは、とにかく思いつくままたけのこ料理を作り続けた。
たけのこご飯に、たけのこの天ぷら。たけのこと油揚げの煮物や、豚肉とたけのこの中華風炒め。たけのこのお吸い物に若竹煮、たけのこ自家製メンマまで。
ちなみに、このたけのこ自家製メンマについては、我が家の連れ合いが現在ハマって作っているものである。
食べ切れないほどの量のたけのこでも、メンマにしてしまえばあっという間になくなってしまう。
旨味が引き立つピリ辛メンマは、一晩置いて味が染み込んでから食すのはもちろん言わずもがなだが、自分が最も好んで食べるタイミングは『出来立て』の時。
まだ湯気が立ち昇っている中での、熱々の状態でつまみ食いさせてもらうメンマは、本当に手が止まらない。
まだメンマ全体に味が染み込む前なので、ぼやけた風味もあるのだが、それでもあの出来立てメンマを口の中に入れた瞬間にぶわっと広がる旨辛さはやみつきになってしまう。
あれよあれよと言う間に持っている箸が踊り続け、気づいた時にはすでに半分以上のメンマが消えていることもザラなのだ。
そのため、連れ合いには『明日まで手出し厳禁!』というキツイお達しとともに、強制的にタッパーの蓋を閉められ、冷蔵庫の奥深くまで押し込められてしまうこともよくある光景になっていた。
毎度のごとく『明日食べる分がなくなってしまう!』とお叱りを受けているのだが、それでも手は止まらない。すまぬ。
そんな感じで爆食が続いている今日このごろ。
さて、次はどんなたけのこ料理を作ろうか。
『じっくり、来年の分まで味わって。今日もたくさんいただきます』
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